淀みや雑味を濾したその後に残る、清らかな水のような。美しい恋情の物語。

主人公は、齢87歳の元教師。
同窓会の日、かつてアイドル的な存在で彼女を取っ替え引っ替えしていた元イケメン(定年退職した今もイケメン!笑)の教え子が、そんな彼に唐突に想いを告白する。

恋情や愛情に、年齢も、性別も、関係ない。
こんな風に言ってしまうと、いかにも月並みだけれど。
人生のイベントを概ね終えた後に、心の中に静かに残っていた、そんな恋心。
ひたすら温かで穏やかな……余分なものを全て削ぎ落としたような、濁りのない想い。

こういう形で結ばれた二人の想いこそ、永遠かもしれないと……そんなことを思わずにはいられない、何とも幸せで美しい掌編。
おすすめです。