純文学風破滅し損ない小説

 棄却の面白さ。本作はそこに尽きるだろう。目的はあっても目標を棄却する。監禁はしても狭義の肉欲は棄却する。そもそも生命を棄却する。まっさらなキャンバスの縁にだけ偏執的に犠牲者を描いたような作品だった。