不条理編6 一人暮らしのためのアドバイス
さて、エッセイのシメは前回同様何かレシピをと思ったが、残念、不条理はシメようがない。飲み会のラストのようにも、そして戦争のようにもいかないのが不条理だ。
好きでもない飲み会に参加させられるのも不条理だし、戦争そのものだって不条理なのに終わりはある。しかし不条理の対象を食にまで拡大したとき、それはシメようのないものとして立ち塞がってくる。このことを忘れてはならない。
しかしそれではあまりにも寂しいので、新生活でもし一人暮らしを始めたという人がこのブログを見ていた時のために、食に関するアドバイスなどしてみよう。
まず新生活に入って悩むのが自炊の程度だろう。大抵の一人暮らし、そのスタートはワンルームだろう。私も新生活に入るにあたりいろいろ部屋を検分したことがあるが、最近はガスではなくIHがコンロとして用意されているケースが多い。そこに狭いシンク、まな板一つ、どころか洗った食器類すら置くのに困るような狭苦しい空間しかない。これはもやはキッチンとは呼べまい。給湯スペースとでも呼称するのが正しいような空間だ。こういう場合、思い切って自炊を諦めるというのも手だろう。
そもそも自炊とはどの程度から自炊と呼ぶのかという定義もあるが、私の場合は生鮮食品類の加工くらいからが自炊だろうと考えて今書いている。ゆえに自炊を諦めると言っても、レトルトパウチのカレーや牛丼は食べることを想定している。炊飯器と電子レンジ、それから当然冷蔵庫。この三点セットは重要だ。
冷蔵庫は説明不要としてまず炊飯器だが、自炊しないと言ってもこれはとても重要だ。白米はシンプルに食事のかさを増すことができる。レトルト米飯は精々200グラムが限度だから、もし読者が食べ盛りなら白米は米を買って炊いた方がいい。残ったものは冷凍しておくのが当然の技術だ。
つまり白米を冷凍保存する選択肢を得るためにも電子レンジは必要なわけだが、他にもレトルトパウチ商品なら最近はレンジで加熱できるものもあるし、そうでなくても皿へ移し替えれば大抵は加熱が可能だ。その際、ラップで皿を覆うのは忘れずに。加えて電子レンジは冷凍食品の解凍、弁当や総菜類の温めなおしに必須であるから、絶対に必要だ。
さてそうなると他の物品だが、ラップはあって困らない。食器類は必要を感じたら揃えていけばいい。電気ケトルの類はコンロがある場合基本的には不要だろう。場所を取るし、何よりワンルームの給湯スペースではコードの始末に困る。だが置き場所が明確で、かつコンロでの給湯に面倒を感じるなら持っていて困るものではない。その程度だろうか。
では自炊を考えているという人はどうか。基本的にはその人の能力に任せるほかはない。もし一人暮らしをする前から自炊をしていたのなら味オンチのアドバイスなど不要だろう。しかし仮に一人暮らしを機に自炊を始めようと考えているのなら、注意しなければならないことが二点ある。
ひとつは調味料類の選択と保存である。さすがに食品類の賞味期限は無問題だろうが、調味料となると使い切る前に賞味期限を迎える場合も多い。砂糖や片栗粉など、賞味期限ははっきりしないが駄目になるというパターンもある。一人暮らしで食あたりは非常に面倒なため、食品もそうだが賞味期限を過ぎたら調味料類は潔く捨てることだ。最近は一人暮らし用に小さめのものもたくさん売っているが、相変わらず砂糖あたりはどでかくデンと売っていやがるのが厄介だ。
調味料類はそうして捨てる可能性が出てくるため、可能な限り種類を絞るのがいい。塩コショウなんて二種類が混ざったものは炒め物にしか使えないから却下である。塩とコショウを別々に揃えるべきだ。もしどうしても大きめの調味料を買う機会が出たら、その調味料を大量に消費できるレシピも合わせて調べておくといいだろう。スパイスやハーブ類はレシピに書いてあってもまず必要のないものと心得ていい。よっぽど使いきりサイズでもない限りは。
二つ目の注意点は他ならぬレシピについてである。今は検索で何でも出てくるご時世だが、もしあなたが自炊素人ならクックパッドは止めた方がいい。あそこは小麦粉を半生で調理し、離乳食にハチミツを入れる魔境だ。読み解くには食に関する並々ならぬリテラシーが要求され、さらにそれで得られる情報は並以下である。あそこはレシピ界の
長くなったが参考は以上だろうか。各々、不条理にはよく注意して新生活を乗り切ってほしい。乗り切ってくれないと読者減るしね。
味オンチ食道楽記 紅藍 @akaai5555
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます