愛とは凍てつく心さえも溶かしてしまうのか

 忌み嫌われ、疎まれて捨てられた少女と、人に危害を与えてしまう程強力な魔法を持った氷の魔物。ふたりは出会い、種族を越えて互いの孤独を埋めていく。

 ふたりが過ごした時間は、魔物にとってみるとほんのわずかな時間だったかもしれない。でも、その時間は幸せだったのだろうと最後の場面が知らせてくれる。どんな風に人生を全うしたのか、きっと楽しい時を刻んできたのだろう、などと想像が膨らんでしまう。

 残された氷の魔物は、再び孤独の中に沈むのでしょうか。いえ、その孤独を凌ぐほどの大きな愛で満たされているはずだと、そう思いたい。とても優しい愛に溢れた作品。

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