永遠の旅人は、300年の祈りを届ける

 簡潔な文章で物語がさくさく進んでいくので、じっくり文章を味わいながら情景や心情に思いをめぐらせたい人には物足りないかもしれません。が、その展開の速さはテンポの良さとも言え、読み進めるうちに情景が目に浮かんでくるようになるので、不足はないんだと思います。ヨクトの言葉で若者がはっとする場面が、自分は好きです。

 謎めいた旅人や呪い、幾世代にもわたる祈りといったこれぞ王道という設定も、個人的には好きです。ヨクトさん何者ですか。彼の次なる旅路や呪われた経緯にも想像が巡ります。