例え話をすると本質を失う ノンフィクションで推測や憶測は使わない

『謎の独立国家ソマリランド そして海賊国家プントランドと

戦国南部ソマリア』 2009年・2011年のソマリ地域取材記を読んで


三国志(中国)と 戦国時代(日本)のような群雄割拠

氏族争いという形や 地縁と血縁の混在が似ている


違うのは 遊牧民文化なのと

外国による植民地支配と 軍事介入を経ている事

それが良かったのか悪かったのか 地域と立場によって異なる


武器は刀や槍や弓ではなく

速射ライフル 機関銃 爆弾 空爆とかなので被害は強烈


ソマリ地域の面積は 日本の本州ぐらい

陸続きの本州が3~5地区に強制的に分断されたり

自ら別れて 各々が独立国家を名乗ったり

名乗らなかったりし 分断原因も背景も異なり

国家主権が曖昧で 各地が争ったり

争わなかったりしてる混沌さをイメージして貰うと分かりやすい

――――――――――

近代版リアル戦国地域での 力 金

住民達のメイクマネーっぷり 嗜好品カートのキマり具合


兵士4人を連れ 世紀末都市ガルカイヨから

道路上にドラム缶4本で区切られただけの

超怪しい国境を越えてゆく著者


いつ拉致られたり 誘拐されたり 銃撃されたり

地雷を踏んだり テロに遭ったりするか分からない緊張感の中

進んで行くのがノンフィクションの醍醐味で 本書の面白さ


創作話と違ってありきたりな予定調和や

興醒めする無理筋な辻褄あわせが無くて 好き

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①ソマリランド(北部)

元はイギリスによる間接占領だったので

氏族文化や長老文化は残された


氏族主義+自由主義

氏族と議員を混在させた選挙・政治スタイル

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②ソマリア(南部)

元はイタリアによる直接占領で氏族文化は解体され

やがて混沌を招く

首都は『ブラックホークダウン』でお馴染みのモガディシュ


宗教主義 vs 自由主義 vs 氏族主義 vs 外国の軍事介入


無政府状態だが 氏族が経営するインフラ

(病院・電気・ガス・水道・学校)は機能しているようだ

――――――――――

③プントランド(東部)

混乱のドサクサに乗じて 海賊が創ったと噂される海賊国家

身代金を中抜きする身代金ビジネスで稼ぐ 海賊主義


海賊利権や海賊業務が産業化されおり

海賊マネーの稼ぎ方や 行き渡り方も本書で解説


金を払えば 誰でも海賊を雇えるという

個人経営の海賊を数人雇って マシンガンやバズーカを

レンタルし 海賊業務専門の通訳に身代金交渉をさせる


本書の見積では 積み荷への身代金1億円を

Getしたと皮算用して

海賊に投資(投機)したオーナーに対する純利益は

3千万~4千万円


有力者や氏族の長老や関係者への支払いが

5千万円くらいで 残りは経費


投資額は1ヶ月400万円ぐらいだが

ブン盗る船が見つからなくて数ヶ月待ち続けたり

乗っ取りに失敗し 金だけ失う可能性もある


「キミも海賊になってみないか?」 と言いくるめて

クラウドファンディングで募集したら

いくらか集まってしまうよーな気がする

――――――――――

【読みにくかった点】

源氏と平氏や戦国時代に例えるのは面白いし

取っ付き易い入り口だったが 余分な表記が膨大に

増えてしまっていて 本質と事実が把握し辛い


著者の考え(推測・憶測)も混入しているので

読み分けるのが手間

――――――――――

【著者の凄い点】

現地の言葉を学んで 会話で打ち解ける方針

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