イチゴ、リンゴ、ときどきクールミント
- ★★★ Excellent!!!
昔々……というほどではない昔。ひとりの超絶美少年がおりました。
ひと目見ただけでその面影が胸に焼きつき離れない、誰もが彼に恋してしまう、そんな存在でありました。
そして月日は流れ。すこやかに年経た彼は、儚げな美少年の面影をきれいさっぱり脱ぎ捨て、立派なおじさんとなったのです。
その潔く元・美少年な鷹史さんと、彼が引き取り育てている親友の忘れ形見の現役美少年・忍くんを中心とした、「かがり町」が舞台のほっこり優しい物語。
とにかくイケメン好きならここに住め! なイケメンオンパレード♪
大人も若者もバラエティ豊かな美形がいっぱい。ここではニャンコたちだってイケメンです。猫自治体まであるのです。
作者さまはおじさんになった鷹史さんに「美」の形容を出し渋っていますが、きっと今でもイケメンなのだと思います。
そのように読者が妄想……もとい想像して楽しめるほど、誰もが豊かな個性を持っています。外見だけでなく内面まで、ひとりひとりが煌めく個性を与えられて大切に送り出されているのが伝わってきます。それがこの作品のあたたかさと優しさを生み出しているのでしょう。
ただし、優しい人たちに油断していると不穏さがちらつき、楽しい会話に笑っていると美しくも妖しい詩や言い伝えにゾクッとさせられる……そこに何かが隠れてる……そんな多層の深みを備えた物語でもあります。
ぜひこの、可愛くていくつもの味を楽しめるキャンディアソートのようなお話を(そして美味しそうな和食を!)、ゆっくりとご堪能ください。おススメです!