黒い影を追う柚子乃と、記憶を失っている宗典の不思議な物語

SFというと、やはりロボとか宇宙とか、そういうイメージが強いんですが。
本作は日常を舞台とした近未来でのお話でした。
G.Aと呼ばれる仮想デバイスが日常に存在する世界。
そこで盲目だが、G.Aにより世界を見ることができ、しかも特殊な力を持った柚子乃が、奪われたあるものを黒い影から取り返すべく奮闘する所から始まります。
作戦は失敗し、逆に黒の影から追われる事となった彼女の前に現れた、黒い影を触り、払える記憶喪失の青年宗典に助けられて。
と、特異な出会いを経て進んでいく物語です。

近未来らしい、現実にも近い世界観の中で、柚子乃と宗典だけでなく、柚子乃の家族なども出てきますが、まず良かったのはその日常や現実味。
柚子乃の人間不信な性格の理由から、黒い影に奪われた物など、非常に人間らしさがあるんですね。
しかも、家族も家族なりの温かさを感じて、展開にほっこり出来ることが多い。

そして、そんな中でも話の中核にある、宗典と柚子乃の力と、黒い影の存在。
それらの謎を解明し、柚子乃は無事、奪われた物を奪い返せるのか。そして宗典は記憶を思い返せるのか。

変な言い方かもしれませんが、SFらしからぬSF、と言っても良い本作。
作者のいうSF(すこし不思議)な、物語。是非読んでください!!

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