第9話 立ち直り

私は別に何もしたつもりはない。

ただ普通に過ごしてただけ。これって悪いこと?

私が生きてることってそんなにいけないことなの?

なんで?理不尽だよ。何もしてないのに。

誰も助けてくれないの?



——そう思ってた。



でも、違ったって気づいた。

今までは、周りを見てなかったんだって気づいた。

氷河も、海河も、銀河も、大河も、おばあちゃんの目を盗んでは優しくしてくれてた。

葉月くんや、優香たちもそう。

なのに、気づいてなかったんだ。


佐藤先生と希美子さんに優しくしてもらって、親の無償の愛ってのを知った。

本当の子供じゃないのに、よくここまでしてくれたと思う。本当に感謝してる。


風香と翔太も、水野家の縛りがなくなって暗くなった私に良くしてくれた。


水野家の期待とか、跡取りなんだとか、そういう肩の重荷がなくなった途端に周りへの感謝が止まらなくなった。

それなのに私はこんなにも醜い。

1人で、自分が一番不幸なんだって思い込んでた。

まるで悲劇のヒロインみたいな気分でいたんだ。

そんなことない。周りを見てなかったから孤独に感じてただけなんだ。

こんなんじゃ、このままじゃ、ダメだって強く思った。


だから私は変わるんだ。

水野家とかそういうの無しに、若林二葉らしく生きていきたい。

こんな暗くて、下を向いてるのは私じゃない。今までは水野家のためにやってたけど、やっぱり明るく元気ってのは私の真骨頂だもん。

無理やりは良くないと思うけど、徐々に理想の私になっていきたいって思えたから。



——変わるんだ。

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JKものがたり 緋都 歩夢 @ayumuu

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