不定期の待ち合わせ、三番線で。

美柳 さくら

ファインダー越しの私の世界

『mashiroさんがあなたの投稿をいいねしました』


『mashiroさんからコメントが届きました』


新しい写真を投稿してからわずか3分、mashiroくんからの通知が届いた。

相変わらず早いんだから…


twitterを開いて、通知を表示する。


「今日の写真もめっちゃ綺麗ですね!」


私はそれに、「ありがとう」と返事をした。




私の趣味は、写真を撮ることだ。

写真と言っても趣味の範囲。一眼レフカメラを持っているわけでもない。

スマートフォンのカメラで、写真を撮っている。

撮る写真は、全て風景だ。


自分が綺麗だとか、感動するとかそんな風景を見た時に、カメラを空に向けてシャッターボタンを押す。

カシャ、と乾いた音がして、美しい瞬間が私のアルバムに増えていく。

撮った写真をtwitterに投稿する。

決まってつけるのは、私の大好きなタグ。


『ファインダー越しの私の世界』


私が覗くのはファインダーじゃないけどね。




タイムラインを見ていると、mashiroくんも写真を投稿していた。


『映画みたいには、生きれない』


そんな文章が添えられた写真は、本当に綺麗だった。

透き通るような青くて深い空を、思わずアルバムに保存してしまう。


mashiroくんは、風景と人物を撮っている。

写真の勉強をするために専門学校に通ってて、いつか写真家になるのが夢なんだとか。


そんな彼が私と長く仲良くしてくれているだなんて、勿体ないというかなんというか。



ふとカレンダーに目をやると、1週間後に赤で丸がつけられていた。

そうだった、あと一週間だ。



来週は、mashiroくんと一緒に写真を撮りに行くのだ。

かなり前から約束していて、お互いのオフの日がちょうど一週間後。


楽しみだなぁ。

尊敬してる写真家さんと写真を撮るなんて、滅多にないことだから。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

不定期の待ち合わせ、三番線で。 美柳 さくら @3yagi_

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ