「呪い」と「誓い」、言葉の多面性……

 本作のタイトルにある「詛」という漢字について辞書を引くと、「呪い」と「誓い」という2つの意味が記されています。
 一見両者は全く異なるものように考えられますが、人がその想いによって人を束縛するという意味においてこの2つはコインの裏表の関係にあると言えます。本作ではそうした「言葉が持つ多面性」もテーマの一つとなっていると言えるでしょう。
 上述のように著者が言葉一つ々々を大事に扱っている点も本作の魅力かもしれません。
 ストーリーとしては、主人公の八白さんと結が協力して不可思議な事件を解決(と言い切れない場合もあるのですが……)しながら物語の根幹に関係する怪異に迫っていくというものになっています。その中で様々な伏線が張り巡らされているのですが、その内容が実に緻密に出来ていて、終盤はまるで問題集の答え合わせをしているかのような爽快感を味わうことができました。 
 また、作中随所で垣間見られる民俗学的エッセンスは、小野不由美先生の「悪霊シリーズ(ゴーストハントシリーズ)」にも通ずる所があり、同作が好きな読者であれば特におすすめしたい作品です。

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