本作の中で特に印象に残ったのは、主人公達が乗る飛行機に向けて放たれた弾丸に対して主人公が「きれいだな」と呟くシーンでした。
もちろん弾丸は彼女達を殺害する明確な意思を持って放たれたものであり、もし弾丸が直撃すればそのとおりになっていたでしょう。
このシーンを頭の中で思い描くと、それは何年か前に目にした自衛隊の公開演習と重ります。
そこには、機関砲から伸びる曳光弾の光線や榴弾砲の曳火射撃で空に描かれる茶褐色の爆炎に確かに見とれている自分がありました。
美しい光景の下で生み出される殺戮、そしてそれに魅入られる人間の狂気というのも戦争の一面であり、そうした描写も本作の魅力の一つではないでしょうか。