ロリババアとは属性ではなく、在り方である。

この小説のテーマは『執着』『成長』そして『ロリババア』だ。
各々の『執着』により現代で怪異に触れてゆく数々の人間が、怪奇事件の先で『成長』する。主役も脇役もほぼ例外はなく、作品に登場する様々な人物から人間性を感じ取ることができる。
そして、物語の主人公の一人、八白さんという老成した人外であってもそれは例外ではない。むしろあやかしの側の生き物であるが故に、作中での変化は目が離せないものになっている。
この小説は奇をてらった事はしていない。雑な属性付与による飛び道具も使わない。ただ、テーマにした題材に対し、真摯に向き合って練り上げられた物語だ。
是非ともこの物語を、そして人物の在り方を味わうように読んで欲しい。