少しだけ聞いたことはあった。書道パフォーマンスなるものについて、作中でも様々な角度から語られている通り書道の新たな形態である。
そして調べた。毎年愛媛県の四国中央市で大会がある(※高校生の大会)。
昔テレビで目にした古畑任三郎のドラマに華道パフォーマンスが出てきたが、書道にせよ華道にせよ激しい身体の動きが自然に注目される時代になりつつあるのだろうか。
主人公の少年は誰もが応援したくなる柔和で誠実な人間であり、その意味では読者を保護者にしてしまう。魔性である。
私自身は獅子屋が大変気に入った。性格も外見も行動も大変カッコいい。あれで私生活にあれこれ悩みを抱えていそうだが。
そんな彼らの学園生活が一つ一つ読者に紹介されていく筋立ては、なにか書道で描かれていく達人の筆さばきを思わしめる。
まだまだ序盤のようだが、特に主人公は倒れぬ程度に全力を尽くして欲しい。
春の柔らかな日の情景。
初々しい、千尋の
入学の日の様子が、
瑞々しい気配を持って伝わって来ます。
千尋の境遇から、
新たな中学生活への期待、
前向きな気持ちと、
馴染みの、勇樹と公弘の存在が、
温かく、包むような気がします。
新たな出会いを迎える、
正親の第一印象が強烈で、
わくわくしてきます。
部活での何気ない、千尋と周囲との
雰囲気のずれ、
抱く想い。
微妙な心理が繊細に描かれていて、
とても分かる想いがします。
絵を描くことのきっかけ。
おばあちゃんの言葉は、
物を作る人にとって、
かけてほしい言葉の、ひとつではないでしょうか。
胸にじんわりと染みました。
『夢』の文字。
千尋と、正親を繋いだ、
一枚の書の存在。
千尋の描く姿に、感動して、
涙が出る想いがします。
わくわくと合わさる、
真剣であればこその、
二人の戸惑いや想い。
見上げる絵画の存在、
時を伝える表現。
拝読していると、
小さな瞬間にも、はっとさせられます。
創造力が湧く瞬間。
誰かとそれを分かち合いたいと思ったことが
ある人にとって。
心震える瞬間が、
物語の中に描かれていると思います。