住む世界は遠いようで近い

スパイスの香りや街の風景は中東らしいエキゾチックなもの。絵巻物のような美しさがあれば、火薬や瓦礫がつくる怖さも潜む。
どきどきしながら読み進めると、真実のまとうベールが気持ちよく剥がれ出す。

目を向けにくいテーマだからこそ、シリアスなところは丁寧に掘り下げられ、やすらぎを覚える部分と見事に調和している。

現実と虚構の境界が分からなくなるほどのリアリティーに、思わず息をのむ一作だ。

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