異世界転生のテンプレ? とんでもない。

異世界転生のテンプレで始まるかのように見えたこの物語ですが、転生した主人公は、あっ、と驚くような、絶望的な境遇の幼少期を過ごします。

まだ幼児(記憶や性格はおっさん)の主人公の前に立ちふさがる悪役は、本当に胸糞の悪い悪役で、やりたい放題。
魔物の娘とはいえ、女の子がひどい目にあわされる、えぐい描写も出てきます。

勇者として、スカッと冒険して、魔王を倒して。その為に転生したんじゃなかったの?
どうして、異世界に来てまで、こんなに世界は辛く、主人公は惨めな思いをするの……?

そんなパートが長く続きます。
前世で報われず、自分に自信のない主人公は、この異世界で、もう一人の勇者の劣化扱いされても、歯を食いしばり、頑張ります。

幼少期の「ママと言える存在」との出会い。
少年期の「武器屋の頑固親父(ドワーフ)とその孫娘」との出会い。
そして、人生の救いとなるヒロインとの出会いを経て。

全て、全て、無駄じゃない。

世界の謎。
キーマンとなる、謎の女性、ベノム。
全て伏線を回収し。

物語の最後のほうでは、ダイナミックなバトルと、カタルシスを味わえます。
だから、読んだら、途中でやめないで、ぜひ、最後まで読んで欲しい。
物語の最後のほうで、主人公は、ダイヤモンドのような眩い輝きを見せてくれるから。

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