信長の側室になった私。

@ayuna_ebi

第1話

桜並木が両側に続いている道は葉桜になり花見客はいないけど赤い提灯だけがずっと奥まで続いていた。なんか幻想的だなって思う。

そういえば公園、昔はどこぞの寺の庭だったとかその昔は…小学校の時に調べたけどわすれたなと思いながら歩いていた。


そう、2018年平成最後の桜が散る夜だった。


並木道を通り抜けたら能の舞台があり、年に数回篝火を焚いて能が舞られる。祖父と毎年観にきてた。

祖父は下町で工場を経営していた。風流が好きな人で能の鑑賞やお茶お花も師範だったので、お茶を習いに祖父の家に通った。お陰で私も師範。

今日はお茶会でお点前を披露した。祖母からもらった総絞りの振り袖は超お気に入り。

でも、疲れた。早く帰って着替えたい。

能の舞台の木々が植えられいる狭間に小道がある、そこを抜ければ家の真ん前にでる。普段は危ないからと父と母に言われていたけど、いち早く家に着きたかった。


あれ、篝火焚かれる。今日イベントの日だっけ?でも観客いないし。

舞台を観ると舞っている人に釘付けになった。力強い低くとおる声。なのに繊細な舞に魅了された。

最後までボーとみてると、

「何もの!」

「女?変な身なりだな?ここに入ったとはどこぞの忍者のものか?」

あっという間に手首を捕らえられる。

「痛い!何すんの?能観てただけじゃない」

「ほう。おなごのくせに能がわかるのか?

おもしろい俺の側室にでもしてやるからこっちにこい。」

(意味わかんない。今は平成よ。何昔の人みたいな言葉使ってさ)

どんどん連れられて、ろうそくの灯りのみの部屋に連れて行かれた。

そしてあっという間に着物が解かれる。

「花嫁みたいな着物だな。誰か送り込んだ者かいい趣向だ。」

急にキス。思わず右手で相手の頬を叩いた。

さすがにもう大人しくしていられない。

「何すんの!好きでもない人とはこんなことしないわ。」

覆い被されて身動きすらできない。今度は濃厚なキス。両手は押さえつけられて動けない。段々襦袢もの脱がされてる。

(もうダメだ、なんでこんなことになったんだろう。近道しなきゃよかった。)

情けなくなったのと怖いのとで涙がこぼれた。

急に手が止まった

「泣いてる女を無理に抱く趣味はない。

おもしろいから側においてやる。それまでこの着物は預かる。」

「えっわたし帰らなきゃ。返して!

帰る?ここは戦乱の戦の真っ最中帰れるはずない。バカか今外に出たら兵に殺されるかそれこそどうなるかわからん」

頭の処理能力の限界を超えて気を失ってしまった。



  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る