紅き竜と変わり者娘

登場人物その三


◆紅き竜

 山の頂に棲んでいた雌の火竜。真名はセキ。

 三百年を生きる竜で、多くの子竜を育て上げている。

 そろそろ老境に差しかかると、自分では達観していた。

 兄竜カナリヤや母のカガミが若々しいため、クレナイに、もっと思うがままに振る舞うよう諭される。

 数十年振りの恋は、静かで安らかなものだった。

 最近産んだ卵はふたつ。


◆娘

 かつて「紅き竜の巫女」を名乗っていた、元人間の娘。名前はクレナイ。

 魔法生物であるルリとヒスイを子として残した。以降はなるようになると思っている。

 生贄の乙女だったころから、押しは強かった。

 必要とあらば、母である紅き竜にすら、「涙」を武器として使うことをためらわない。


◆浮島の竜

 竜とクレナイが旅の途中で出会った、穏やかな雄竜。


「本当に穏やかなお方でした。わたしが竜族だったら放っておきませんのに。あら、どうしたんですかお母さん? いつもより紅いですよ? また思い出話でもしませんか」



 あと、もう少しだけ。

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紅き竜と変わり者娘 ~ふたりが出会ってからのこと~ いろは紅葉 @shira_tama10

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