日常にありふれた、鮮烈な、二人の出逢い。

この作品を拝読して、いちばんに評価したいと思ったのは二人が出逢うシーンです。
ボーイミーツガール、なんてジャンルの表現にもある通り、この類の物語においてはヒロインと主人公が出逢うシーンがクライマックスと同じくらいに重要で、読者の心を強く惹きつける部分だと思います。

物語の構成や設定は王道とも言えるものですが、何よりも出逢いのシーンの素晴らしさがこの作品の魅力を確固たるものにしています。

「でも、実際の先輩の眼差しは、予想外に頼りなく、僕の心の真ん中をさざめかした」

特にこの精緻で胸を打つような一文によって、主人公のヒロインに対する想いが固まるまでの流れがスムーズに描けている。そんな部分に感服しました。

素晴らしい小説でした、次回作も楽しみにしております。

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