匿名 希望 過去篇 10歳
えーと、つい名簿番号で呼んじゃったけど。ほんとにこういう名前なんだよね?
はい。私の名前、これなんです。
じゃあ、「
……違います。匿名希望と書いて
……ふーん、珍しいねえ、そういう名字。あれでしょ、お医者さんの時とか困らない?
……そう、ですね。だいたい世の中でふつう? な方で読まれがちだと思います。
…………先生はどうなんですか。先生だって珍しそうな名字じゃないですか。
おっ、やっと話しかけてくれた。
……そうだねえ。こんな名字めったにないよ、たぶん。初めてこの字の並びを見て、まともに読んでくれた人なんて何人いたか。希望ちゃんだってそうでしょ? 私の名字見て、一発で読めた?
いえ……見たことないような字ばっかりで。
……先生だってそうじゃないですか。私のが読めないから番号で呼んだんじゃ……。
……ふふっ。
え、何がおかしいんですか?
ううん。希望ちゃん、やっとしゃべってくれたな、って。嬉しくって。
……あの先生からは話聞いてるよ。希望ちゃん、いつも教室の隅っこにいたって? あんまりしゃべってなかったって聞いたからさ、寂しそうだなって。希望ちゃんと仲良くなりたいな、なんて思って。昔の私もそんな子だったからさ。
……はい。
ねえ、希望ちゃん。もっと話してもいいんだよ。もっと積極的になってもいいんだよ。
怖くないから。私がついてるから。
……先生。先生……!
もー、希望ちゃん、何で泣いてるの。かわいい顔が台無しだぞ?
まぁ、いっか。……何か、くすぐられちゃうね。
…………あれ? 今って昼休みだったよね?
アイディアスケッチ 家郎 @yellou-mistake
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