第4話 そしてアケミはモミアゲに味噌を塗る
東京湾に怪獣ゴスラが現れた。
このゴスラ、出征が少し複雑で、人間だったら児童相談所にお世話になっているレベルの怪獣である。
まずゴスラは元々、人間であった。正確には、人間のポコチンであったのだ。
ここに一人の風俗嬢、アケミがいる。
アケミは名前の通りのサバサバした女で、刑事ドラマで、事件の捜査で犯人のアパートのインターホンを押すと「うるさいわねぇ」とカーラーまみれの髪で隣の部屋から顔を出し、「そいつなら引っ越したよ!」と言って、ドアを閉めそうな顔をしている。
しかし、そんなキツイ性格とは裏腹に、アケミは料理が得意であった。そのせいで、よくバンドマンとか、社長を目指しているどうしようもない男を部屋におびき出し、寂しさを紛らわすという習性を持っていた。
そんなアケミに三ヶ月の付き合っている彼氏ができたある日。彼氏の様子がおかしかった。
「どうしたの?」
アケミが聞くと、彼氏は思いつめた顔で
「最近、変な夢を見るんだ」という。
夢の内容はカルーセル麻紀とカバちゃん、あとは美輪明宏とかと、マツコデラックスの悪口を言いながら、徹夜で麻雀をするという内容だ。
この内容だけなら、どこにでもあるありふれたメルヘンだ。しかし、それが一週間連続となったら話は別だ。
アケミの脳裏に嫌な予感が駆け抜けるが、案の定、彼氏は「モロッコに行ってくる」という置き手紙を残し、アケミの貯金通帳を奪って逃げてしまった。
それから一ヶ月後。
アケミは、彼女になった元彼氏と見て涙を流した。
「そんな泣かないで」
と、元彼氏はアケミに『SAMURAI DAMASI』と書かれた木刀を差し出した。
「開けて見て」
鞘を抜くと何と、それは一ヶ月前まで元彼氏の股間についていた元彼氏であった。
アケミはそれを飼うことにした。寂しい夜はそれを抱きしめて、温泉にも二人で出かけた。ドアを開けっ放しにしたいときは、それをドアの下にはめるととても便利であった。
しかし、そんなある日、大切なものに異変が起き始めた。ポコチンは突然、街に降り注いだ包射能(包茎を憎む人間の心が気体になったもの)を浴びで巨大化。
あんなに可愛いかったポコチンは一瞬で怨念の塊、ゴスラになった。
「ゴスラは怒っているの!」
アケミが地球防衛軍にやってきた。なんて、化粧が濃いんだ、この女は。アケミのせいで、花粉症気味のアレルギー野郎達は一気に鼻がムズムズしてしまった。責任取れよ。
「ゴスラは、コスラという存在にイライラしているのよ!」
ゴスラにとって、コスラは天敵。コスラは今は皮を被っているが、ここからズルムケに進化することができる。
かつて、『太陽に吠えろ!』でマカロニ役をしていたショーケンこと萩原健一はこんなことを言っていた。
『殴る前に剥いてやれ』
ゴスラはコスラが剥ける前に倒しにやってきたのだ。
それにしてもアケミ、歯並びが悪い!
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