全体的に素晴らしい作品だと思う。
主人公の悪事さえも魅力に感じる不思議さがある。
強いていうなら、登場人物が多すぎることとサイドストーリーにした方がすっきりする話が多いかなと思うこと。あと、ラストの魔王と呼ばれたくだりが不完全燃焼を呼び起こしていると思う。
ある意味ガンダム以上に同時期に別の場所で物語が動いているので、まずメインストーリーとメインのサブストーリーのみを本編でやって、ヤンの話等は完全に別枠にしてもよかったんじゃないかと思う。そうすればもっと読みやすく一つ一つを物語としてたのしめたんじゃないかなと。どうしても本編の続きが気になってサイドストーリーは飛ばしぎみに読んでしまったので。
とまぁ、これだけかきたいことができてしまうくらい、面白かったということで、未読の方は是非読んでみるといいと思います。
まず、ストレス発散目的でネット小説を読んでいる人はこの作品には合わないだろう。そして、主人公を上にして優越感に浸るような作品を求めている人にもオススメしない。……この作品はそれらに対する一種のアンチテーゼである。
この作品は、いわゆる王道ネット小説ではなく、性質としては銀河英雄伝説等に似ている。つまり、作者が伝えたい思想・メッセージといったものがダイレクトにそしてわかりやすく主人公へと投影されているように感じられた。
なにかを手に入れるのではなく、何かを失う物語を求めており、なおかつ、ままならない悲しさを求めている人は是非読むべきである。
最後に、この作品を公開した作者と、プラットフォームを提供しているカクヨムに感謝を。
脳内でシーン毎に映像が流れる様に読める不思議。
思わず感動してしまったので、何か証を残したくレビューをします。
いや、ホントコレ凄い。
心理描写がキャラ毎に物凄く深掘りされており、誰か一人でも深く共感を覚えるキャラがいれば堕ちる(笑
私はカールが好きだなぁ。
あとアポロニアも。
etc.etc.
みたいに、好きなキャラが増殖していき、気がつけばもう立派なファンになっていた。
そこに圧倒的な状況描写?が加わり、脳内でアニメの様に勝手に再生される様な状況に私はなりました。
ここまで来ると変な絵師つけた書籍化とか、大事なモノすっぽぬかしたアニメ化とか、して欲しくないのような気もしなくもないような………
まぁ、戯論です。
あらゆる「今」を対価に、未来を作る。
「俺しかいないのだ!」
まさにそのとおりだと思う。
この世全ての悪すらも手段とする彼は、きっと他作品なら敵方として倒すべき存在になってるんじゃないだろうか。
でもきっと読者は全員そんなこと思ってない。
それはこの世界の誰よりも、優しい世界を現実にするために戦ってるから。
地獄に生きることを選び、他者は全て礎にし、その果てに目的を成しても彼自身の手には何も残らないことを知りつつ……
他作品の敵方ももしかしたら……そんなことまで考えちゃう。
何話を読んでも「面白い」が止まらない、そんな異常な作品。
第1部は何も持っていない少年が、残された数少ない大切なものを奪われ、ありとあらゆるものを切り捨てながら進む復讐劇。
周りの人間を見境なく不幸にしていく中で、世界に与えた不幸に見合う何かを見出し、そのために全てを捨てて進んでいく。ただの復讐劇でも成り上がりものでもない。商業でも中々無いほどの作者の力量と熱意を感じる作品。
対照的に第2部はありとあらゆるものに恵まれた少年が主人公となる。
同じように喪失から始まるが、第1部に比べるとその程度で絶望するのかという肩透かしにも似た感情を覚え、主人公が坊ちゃん過ぎるように思えてしまう。
今後の展開次第であるが、第1部と第2部は間隔をあけて読むことを勧める。