第5話 和解




杖の先端は完全に壊れ、彼女はその反動で尻もちを付いた。そして宗助を不思議そうに見つめ、



「どうして..私に攻撃しなかったの?」



その問いに宗助は、



「いや、俺は別に君に危害を加えたいわけじゃないし、そもそも怪しいものでもないんだよ。」



と彼女に手を差し出すと、



「あ..ありがと..。」



少し照れくさそうに宗助の手を取った。



「ごめんなさい。あの森から出てきたからつい、盗賊かと思って問答無用で攻撃しちゃったわ。」



「この森ってそんなに大切なところなの?」



「大切も何もこの森は神様でも容易に立ち入ってはならないほど危険で大切な場所なのよ。」



「ええ!?神様って...。そんな大事なところだったのか。実はいつの間にかこの森の中にいたもんだから..。」



「はぁ?それってどういうことよ?」



「いや、それが....。」



宗助は彼女にこれまでの経緯を簡単に説明した。もちろんあの変な箱を開けたことは言わずに..




「なるほど...。つまりアンタはこの世界の人間じゃなくて、別の世界から来た人間てことね?」



彼女が驚愕の声を出す。



「まぁ、簡単に言えば..。」



「簡単にって....。まぁ、よく見れば服とか私の住んでる国では見かけない服装だし..ってそんなことよりじゃあアンタなんでそんな大事なこと早く言わなかったの!!」



いやいや、話そうとしたらいきなり攻撃してきたじゃないですか、と口に出そうとしたがまた何か飛んできそうだったので宗助は渋々ごめんなさいとしか言えなかった。



「はぁ、..。でも起きてしまったことは仕方ないから、一応あなたを私の国の王に会わせるわ。そしたら何か分かるかもしれないし。」



「君の国って王様がいるの?」



「ええそうよ。国の中で最も強く、そして最も神に近い存在、、半神半人の...ってそれよりもまだ名前を名乗っていなかったわね。あたしの名はサクヤ。あなたの名前は?」



「俺の名は風見宗助だ。ソウスケって呼んでくれ。」



「分かったわ。じゃあ国に着くまでにソウスケにはこの世界のことを詳しく教えてあげるわ。」



こうして宗助は異世界で初めての知り合いとなったサクヤと一緒に彼女の住む国に行くのであった。



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異世界神世界~神の実在した世界で俺が手に入れた力は無属性!?~ KT @singing_KT

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