第2話 黒い箱

奥へ奥へ進んでいる中、俺はふと思った。



「この路地裏、ちょっと長すぎないか?」



奥へと進んでいるのは確かだが、いくら都会といえどこの路地裏の長さはあまりにも長すぎる。だが、今更戻るのも気が引けると思い俺は早くこの路地裏から抜けるために走り始めた。少しずつ奥の光が大きくなっていき、そして路地裏を抜け、辺りを見回した俺は驚愕した。


なぜなら、路地裏を抜けたその先は車の通る道ではなく、辺り一面緑で覆われた森だったからである。



「何だよここ..。俺はただ近道にこの路地裏を通っただけなのに..。」



と後ろを振り向いて路地裏を確認すると、そこに路地裏は存在しなかった。あるのは無数の木々だけである。宗助はこの状況に恐怖を覚えた。しかし、恐怖とは別に好奇心も存在した。よくよく自分の前方を見てみると何やら祭壇らしき建物があり、その頂上に黒い何かがが置いてあるのが見えた。俺はそれが気になり祭壇を登って行った。そして頂上に着くとそこにはとても古びた黒い箱が一つぽつんと置いてあり、箱の表面に何やら見たことのない文字で文章が書かれていた。宗助はその文章をまじまじと見ると、



「えーっと....この箱決して開けてはいけない。....って何で俺この文字読めるんだ?それにこの文章からして中に何が入っているんだ...?」



人間という生き物は何故かやってはいけないということはついついやってしまう習性があると宗助は思っている。それは自分も例外ではなかった。実際、既に今自分はどこにいるのかという不安感よりもこの箱の中身を知りたいという欲求が勝ってしまっていたことを自覚していた。



その欲求を解消するべく宗助は恐る恐る箱に触れてみる。すると突然箱が一人でに開いた。



「うわっ...!」



少し驚いてしまい2,3歩後ろに退いたが、それ以上何も起こる雰囲気がない。



「何だよ...何も起こらないじゃんか...。」



驚いて少し損をした気分の宗助は再び箱に近づき、箱の中身を除いた。その中には何やら黒い靄のようなものが充満していた。



「...黒い霧...?何でこんなものが箱に?」



宗助はもっと確認したいと思い、さらに箱の中に顔を近づけようとした。その瞬間



ブワッッッ



黒い霧状のものが箱の中から飛び出し宗助の体全体を覆いつくした。



「くそっ、、!何だよいきなり!」



宗助は靄を振り払おうとした瞬間、突然体全身に異変が起きた。



「がっ..?!!ああああああああああああああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!」



身体にどんどん霧が取り込まれ始めたのだ。すると突然味わったことのないような痛みが宗助を襲った。まるで肉体の内側から何かが食い破るように痛みは絶大なものであった。




プツン




そこで宗助の意識は途切れた。

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