第4話 謎の少女
「ん....あれ、ここはさっきの...。」
目が覚めると先ほどの祭壇の上に倒れていた。起き上がってみたが特に体に痛みも無い。だが、明らかに前とは違う箇所があった。
「やっぱりここもさっきのも夢じゃなかったのか、、。」
右腕があの異様な空間にいた時と同様に奇妙な痣が浮かんでおり、箱の中身は何も入っていなかったように空っぽになっていた。
「とりあえずここからさっさと抜け出そう。」
宗助は祭壇を降りていき、先ほど来た方向に歩いて行った。
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「おかしい.....。さっき通った時はこんなに長くなかったぞ....。」
既に来た時よりも倍以上の距離を歩いてるにもかかわらず、森が延々に続いている。
恐怖にかられた啓介は一目散に走り始めた。
「早く....早く...ここから出ないと、、!!」
すると奥にほんの少し光が見え始めた。
「良かった..出口だ!!」
少し安堵の気持ちが出て、そのまま光に向かって走った。
ーこれでいつも通りの道沿いに戻ってまたいつも通りの生活に戻るんだ
しかし、辿り着いたもののそこはいつもの風景では無かった。
辺りは広大な草原が広がり、遠くには城らしきものが見える。完全に日本ではなかった。
「何だよここは..。俺は一体何処に来てしまったんだ....?!」
「アンタ、そこで何してるの!!」
ふと、右側からきつい口調だが可愛らしい声が聞こえてきた。振り向くとそこには真っ黒なローブを着た女の子が立っていた。薄い金色の髪にエメラルドの様な瞳、右手には彼女の身長よりも少し高めの杖を持っている。年齢的にはほとんど俺と変わらない容姿に見える
「えっと..誰..ですか?」
宗助が尋ねると、彼女は目を鋭くして、
「私が質問してるのに何でアンタが質問し返してくるのよ!ここが立ち入り禁止な場所って知らないの!!?」
強い口調で言い返してきた。やばい、明らかに警戒されている雰囲気だ。ここは気を荒立てさせないようにしないと、と謝ろうとした矢先、
「ちょっとアンタ怪しいから、取り押さえさせてもらうわよ。」
彼女は杖先をこちらに向けてきた。何をする気だ?と思った瞬間、杖先から炎が発生した。それはどんどん球形状に凝縮されていき、
「フレアショット/炎弾!!」
彼女が言葉を発したと同時に炎の球が杖先から一気に啓介に向かって凄いスピードで飛んでいった。
「なっ.....!???」
いきなりの事に言葉が出なかった。
(あんなのに当たったら間違いなくただじゃ済まない。早く避けないと..!!)
だが、あと一秒も立たないうちにあの火の玉は宗助の体に着弾する。どう考えても避けられないと思考が停止しそうになりかけた時、無意識に右手が前に出た。
バチィィィィィィィィィィ!!
火の玉は宗助の右手に着弾し、少し火花をあげてそのまま消滅した。
「「は?」」
変な声が出たのは宗助だけでは無かった。彼女もまた何が起きたのか分かっていなかった。しかし、彼女はすぐに正気に戻り、
「アンタ、ただものじゃなさそうね。いくら最弱の攻撃だったとはいえ、私の攻撃を素手で防ぐなんて....。アンタ何者よ?!」
いきなり何を言ってるんだこの子は..。宗助は何を言えばいいか困っている。そんな気持ちを知らない彼女は、
「だんまりか..。 次は容赦しないから。」
そう言うと再び彼女の杖先から炎が発生した。だがさっきとは明らかに大きさが違う。あんなのくらったら間違いなく死ぬ。
「ちょ、ちょっと待っーーー」
宗助が喋りきる前に、
「フレアボール/剛炎弾!!」
さっきのよりも数倍はある大きさの火の玉が先ほどと同じように啓介に向かって飛んでいった。どう考えてもこれは避けられない、と悟った宗助がふと思い返す。
(さっきの攻撃はどうやって回避したんだっけ....。)
そして両目が右手に向けられる。
(そうだ..!さっきはこの右手で防いだんだった!)
右手は傷一つ付いていない。あんな熱そうなものに触れたというのに火傷すら負っていない。異様なアザだけが浮き上がってるだけである。
(だったらさっきみたいに..!!)
と宗助は右手を強く握りしめ、飛んでくる火の玉に向かって思いっきり拳を振り上げた。
バチバチバチィィィィィィ!!!!!
拳は火の玉とぶつかりその間から大きく火花が散った。先ほどと同様に痛みはない。少し熱い程度だ。啓介はそのまま拳に力を入れ、
「うおおおぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!!」
バチィィ!!
火の玉は宗助の右手を反れて、別方向に向かって飛んでいき着弾した。
ドカァァァァァァァァァン!!
着弾した場所で大きな爆発と炎の渦が起きた。
「う..嘘でしょ!!?」
攻撃を弾き飛ばされて彼女は動揺している。どうやら想定外の事が彼女の中で起きてるらしい。
(彼女を止めるには今しかない!)
そう思った宗助は一目散に彼女に向かって走り出した。
「わっ、わわっ...!!!」
いきなり接近してきて彼女はパニックになっている。15mの距離を走り抜け、宗助は彼女の目の前にきて、そしてそのまま拳を彼女に向かって振りかぶった。
「ひっ...!!」
彼女は杖を盾にする。宗助は彼女を殴りたいわけではなく、攻撃を止めたかったので杖を盾にしてくれたことに安堵し、そのまま
バキィィィィ!!!!
彼女の杖の先端を破壊した。
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