カクヨムに殺されたエンジニア

〇〇〇〇

【#僕の私の都市伝説】のウワサ

 ねぇ、聞いた?

 カクヨムっていう小説投稿サイトの話なんだけどさ。



 が言ってたんだけど、そのサイトに、変なウワサがあるらしいの。



 今そこでね、【#僕の私の都市伝説】っていうコンテストが開催かいさいされてるらしいんだけどさ、なんでも、そのコンテストに投稿された小説は、全部本当になるんだってさ。


 え?

 信じられない?


 まあ、普通はそうだよね。

 もちろん私も信じてないよ?



 でもね、ちょっとだけ、おもしろい話を聞いちゃったんだ。


 ねぇ、聞きたい?




 あのね、そのコンテストに、あるとき『【#僕の私の都市伝説】のウワサ』っていう小説が投稿されたんだって。


 そこには、さっき話した「書かれたことが本当になる」っていうウワサのことが書かれてて、どうやら作者さんは、そのウワサを信じたから、その小説を書いたらしいの。


 でね、作者さんがそのウワサを使って、一体なにをしたのかっていうと。



 人を殺したの。


 しかも、自分を。



 そのへんのことは、「バカ」というか「アホ」というか、まあ、そういうことなんだけど。




 でね、問題は、このあとなの。


 この話には続きがあってね。




 一応さ、どんなにバカバカしくても「カクヨムに小説を投稿したから死にました」って話になると、いろいろ問題が出てくるわけ。


 だから、カクヨムの人――正確には、データを管理してる会社のエンジニアさんらしいんだけど、そのエンジニアさんが、念のために、その作者さんの活動状況を調べたらしいの。


 そしたら、その作者さん、その『【#僕の私の都市伝説】のウワサ』を投稿したあとにも、しっかりと他の小説の作業をしてたらしくてね。



 つまり、作者さんは死んでなんかいなくて、ウワサも嘘だったってことなの。



 ここまでなら「なんだよ、ただの嘘かよ」ってことで終わるよね?


 でも、そうはならなかったんだ。




 そのエンジニアさんはね、気がついてしまったの。


 その作者さんが、毎日をしていることに。




 今、その『【#僕の私の都市伝説】のウワサ』には「第1話」っていうエピソードがあるんだけど、作者さんは、夜中になると必ず「第2話」っていうエピソードを書くんだって。


 でも、公開はしないの。

 どころか、書いた瞬間に削除するの。


 その作業が毎日行われてて、書いては消して、書いては消して、をくりかえしてたんだって。



 ね、変でしょ?



 でね、あまりにもその変な作業が続くもんだから、そのエンジニアさんは、とうとうその作業にちょっかいを出しちゃったらしいの。


 なにをしたのかっていうと、「第2話」が書かれた瞬間に、そのデータを自分のパソコンにコピーしたんだって。


 「中を見れば、なんでそんなことをしているのかわかるかもしれない」って思ったんだってさ。


 だから、そのエンジニアさんは、「第2話」をコピーして、おそるおそる中をのぞいてみた。


 そしたら、その「第2話」には、なんと……




 ……ごめん!

 私が知ってるのは、ここまでなんだ。


 怒らないでよ。

 だって、しょうがないじゃない。

 そのエンジニアさん、もう死んじゃってるんだから。


 なんで死んだのかって?

 さぁ、そこまでは知らないけど、ウワサでは、「第2話」を見た日の翌朝に、会社の床で倒れてたんだってさ。




 どう?

 ちょっとおもしろそうでしょ?

 やっぱり「第2話」になにが書かれてたのか、気になるよね?



 だからさ、もしカクヨムの中に知り合いがいたら、聞いてみてよ。


 「第2話」は公開されてないだけで、今もまだ『【#僕の私の都市伝説】のウワサ』に下書きとして残ってるらしいからさ。




 なに?

 今までの話は、一体、誰に聞いたのかだって?

 そんなの、決まってるじゃない。



 に、だよ。

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