第2章 魔術学院未定
ありふれた願望よ死んでくれ
今どきと言ってしまえば、ありふれたことなのだろう。
妄想や空想でしかなく、そして愚かな願望と言わざるをえない。
ボクたちは異世界転生を望んでいる。
灰色に染った街。
似たような話題で笑い合う日々。
繰り返される日常。
変わらない自分自身。
変えることの出来ない世界。
自分ではどうしようもない現実をどうにかしたいと望むのは当然だ。
だけど変える力を備えている、もしくはそれだけの努力をできる人なんてごく一部だ。
人間は基本的に怠惰である。
ボクも同じ。
皆と同じ。
でも、変えようなんて思っていなかった。
この日常が愛しかった。
毎日学校に通い、友達とくだらない話で笑い合い。ノートにつまらない授業を書き写し、放課後は気になっていたショップに行き、夜は通話しながら勉強したり、ネットを見たり。
それで満足だった。
平凡で良かった。
戻りたい。
皆が嫌がり、変えたいとする世界に戻りたい。
ありふれた願望よ死んでくれ。
ボクには必要のない
たとえこの手を汚してでも、あるべき日常を取り戻す。
NiLMaNa-ニルマナ- 沙漠みらい @sabakumirai
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