私たちの心を抉り取り、決して離さない”最強の百合”

百合を書く人にはきっと、自分の百合観を決定づけるような"最強の百合"がいくつか存在する。私にとってこの作品はまさしく最強で、序を読み終えた時、ひたすらたまげて言葉にならないうめきを発しながら次の話を読むしかなかった。


ここには空気がある。
架空の国家で軍人百合を描くということ、それは百合を描くだけでは成り立たない(成り立ちはするのだけれど、それでは軍人というのはただの”タグ”になってしまう)。国を描き、社会を描き、組織を描き、キャラクターを取り巻く空気――全ての設定――が物語において百合の炎を燃え上がらせる薪となった時、軍人百合のボルテージは最高潮に達する。と、私は思っていて、ひたすらその興奮を探していた。
そしてその興奮を、社会を見つめる快楽を最大までぶつけてくれるのがこの作品だ。
世界に裏付けされた物語(百合)はひたすらに強い。いくら社会を描いても軽やかで読みやすく、いくら世界を描いても揺るがない百合は、まさしく"最強"である。


(ここから先は妄言に近いので、そろそろ序文を読み始めていいと思う)
カツカレーは美味い。カツとカレーは美味いから。ではその撃ちは。温玉チーズエビフライカツカレーである。軍人百合が、社会が、アクションが、政治が、個性豊かなキャラクターが、喧嘩を起こさず、絶妙な塩梅で提示され、語られる。シェフを呼んでくれ。完敗だし乾杯だ。上手すぎるし美味すぎる。
私は百合(軍人百合は特に大好き)とSFを愛するボンクラで、物語において描かれる社会の様子が大好きな、いわば「社会厨」である。まさかこの需要まで満たしてくれるなんて。

ただひたすら、感謝しかありません。本当にこの作品と出会えてよかった。
ありがとうございます。

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