ほのぼの系トップクラスの読み応え

完結まで読んでのレビューです。
まず、ほのぼの。
本作はほのぼの系を目指して作られています。文体は軽いので読みやすいと思います。誤字も多いですが。
ほのぼの系は起伏のない作品が多い中で、この作品はしっかりと見せ場があります。
しかもほとんど流血しない。うん、素晴らしい。盛り上げるために簡単に血が流れる作品が多い中、本作は可能な限り流血を回避していきます。
作者は直感型っぽいと私は感じました。
ポコポコと置かれる伏線、そしてノリと勢いで進む物語。
大丈夫かな。どうなるんだこれ。と思いつつ読んでいき、中盤に差し掛かると急に巧みになるストーリーテリング。これ処女作なの?いやいやまさかそんなご冗談を。え?マジ?
そんなこんなで中盤を過ぎる頃には、ほのぼのよりは山あり谷ありの一般的ななろう小説の読み味にじわじわと変化していきます。
そして怒濤の終盤が終わったかと思えば、置かれてきた伏線が解き明かされていく解決編が待っています。
読後感はすっきり爽快。
やっぱりほのぼのだったわ。という。
堪能させてもらいました。
軽く読めるのと、歯ごたえのある読み応えはなかなか両立しませんが、本作はそれをなかなかの水準で達成しています。
気軽に読んでどうぞ。
長編ほのぼの系ではトップクラスに面白いです。長編読むの苦手という諸氏にとっても、長編読みの入り口として適しています。
おすすめ。
評価:★★★☆☆3.8