3章11部まで読んだ時点のレビューです。
本作品を分かりやすく一行で表現すると、
人型ロボット兵器が登場する銀河英雄〇説
というイメージが一番伝わりやすいと思う。
正確には、戦国時代物語の外側をスペースオペラでつつみこんで、ハードSFとファンタジーを隠し味にひとつまみ添えた、といったところ。
SFというと小難しい科学話が苦手だからちょっとなぁ。と敬遠している方もご安心ください。これはスペースオペラなので、とっつきやすい方だと思います。
分からない用語は、そういうものなんだと置いておいて読み進んでも全く問題ありません。
戦国時代の織田信長回りの話が好きな方には、普通におすすめします。
物語の表層面はスペースオペラと書けば、なんとなく雰囲気はわかるかと思いますが、肝心のストーリーのベースと登場人物は日本の戦国時代を下敷きにしています。
戦国時代が下敷きになるとどうなるかというと、まず登場人物が武将等の名前をもじったものになる。
読み始めた頃は吹きそうになりながら読んでいましたが、読み進めるにつれて利点も多くあると感じました。
どんな人物かイメージしやすい、人物の能力バランスが名前から連想しやすい、人間関係が名前からわかりやすい。
人物が沢山出てくる架空の物語では泡沫人物の名前は記号でしかなくなってきますが、戦国時代の人物に詳しければ詳しいほど、名前のある登場人物の元が誰なのかがわかり、どういった人間の繋がりの中でどのように行動するのかが名前一つで把握できる。というのが本作品の強みでしょう。
また、if戦国史にズレていかないストーリーの進行も同様で、SFの枠組みの中で戦国史をどのように整合性を持たせているのかが楽しみどころ、かつ作者の腕の見せ所なんだろうと思います。
まあその意味で1章の中盤はしんどい展開も少々ありましたが、全体的にみると、よくできた戦国時代物語(ただしガワはスペオペ)となってます。
アクションシーンも多々ありまして、人型機動兵器の戦闘シーンなんかを脳内イメージしながら読んでいると、普通にガン〇ムを見ているようで小気味よい。
生身の戦闘、謀略、人間模様もあり、いろいろ贅沢に詰め込まれたよくばりセットを、戦国ストーリーの枠組みの中にペタペタと収め、スペースオペラで盛り付けをした本作。
なかなかのお薦めです。
評価:★★★★☆3.9