薄い水面に沈む街

最初に読んだとき、ここに行きたいなあ、と思いました。海に沈む街、という時点でもう好きなのですが、学校に行かない少女が考えていることはきっと同じ体験をしないと分からない人もいるのでしょうし、夜にカメラを持って散歩する少年もいそうでいないんですよね。ありそうでない、夢のような世界を綺麗に表現していて、どんどんと読んでしまいました。
時折ひらがなで表現される言葉の数々がゆったりとした世界をさらに強調していて、その柔らかさが個人的には好きです。
全体を通して、優しい気持ちになれる小説だと思いました。