切り裂きジャックの寝室
雷藤和太郎
画家の語られぬ恍惚
玄関を開けると、ドアウェイの向こうにカーテンの引き裂かれた窓があった。
「ここは、切り裂きジャックが住んでいたと言われる」
ロンドンの空は白い。
誰も彼もが、下を向き、向こうを向き、
遠くに町の
「ずいぶんと
「シッカートは、ここに住んでいるのかしら?」
「いや、わずかの間だけ、アトリエにしているんだ。……ここは何というか、私の精神を
シッカートに肩を抱かれて、女は部屋へと上がり込んだ。
「ねえ、香水はある?」
部屋は、
「あるにはあるが、アトリエでは使わないようにしているんだ」
「どうして?」
女を背にして、シッカートは
しかし、と女は
貴族の娘はこんな
「香水というのは、
シッカートは、
「この世には、隠したい
「どういうこと?」
閉じられたドアの外、
女からは、シッカートの表情が見えなかった。部屋に一つだけの、カーテンが引き裂かれた窓から入る光が、
代わりに、その手に握られた一本のペインティングナイフが、窓の外の
「さっそく描き始めるの?せっかちなのね」
どんなポーズを求められるだろうかと、女はベッドの上でさまざま
シッカートは先端の
「
切り裂きジャックの寝室 雷藤和太郎 @lay_do69
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