大人と子供の間で、揺れる。

 主人公は、まるで溯上をしようとしない魚のような雰囲気があった。小説の主人公と言えば、人間関係が苦手で、不器用な人を思い浮かべるが、この主人公はまるで泳ぎ方を知っているみたいに流れを行く。それはスクールカウンセラーの女性の言葉に、よく表れている。この女性は主人公の兄の元彼女だ。
 主人公が人間関係を巧くやっていく分、主人公を取り巻く登場人物たちは、不器用さがある。ゲームをやりながら主人公を待つ、不登校の少女。短命だが能力に勝る兄貴。その彼女。病院から決まって金曜日に逃げ出す少女。
 きっと皆、神様を探して生きている。
 自分の思い浮かべる、神様を――。
 青春の生と性の中でもがく様が、主人公の目を通して綴られていく。

 是非、御一読下さい。

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