日陰のネイビーブルー

2017年4月某県巡査として拝命された渡瀬昇は、警察学校卒業後、淀美市淀美警察署深川交番に配置される。
警察学校で心身ともに鍛え、新人警察官として期待に満ち溢れた渡瀬だったが、指導担当である槌屋巡査部長からの厳しい洗礼を受けていた。
「槌屋に嫌われた人間は淀美では生きていけない。」
そんな噂をする署内の人間は、結果を出す有能な槌屋の仕事ぶりを止めることは出来なかった。
槌屋を頂点としたヒエラルキーがまかり通っている交番内において、渡瀬に味方できるものはおらず、体力ばかりが疲弊する日々であった。
そんな折、渡瀬が取り扱った拾得物の財布に入った金が減っていると持ち主が淀美警察署を訪れる。
持ち主は渡瀬が盗んだものだと言い張るが渡瀬は心当たりはなく、交番内の誰かが盗んだものではないかと察する。
そ…続きを読む