実験的ハイテンションシュールギャグ群像タワーパニック怪盗群像小説

 ごめん群像二回言うた。

 表題の通り、本作はハイテンションシュールギャグ群像タワーパニック怪盗小説で、ハイテンションシュールギャグ群像タワーパニック怪盗小説が何かって言うと、申し訳ないけれどそれはぼくにもわかりません。
 でもハイテンションシュールギャグ群像タワーパニック怪盗小説(以下、怪小説)としか言いようがないんですよね。

 「とりあえずおれが面白いと思うものを全部ぶっこんでみよう!」というアレをアレした結果、なんか物理学を無視した奇跡的なバランスでなんかがそびえ立ってる、みたいな感じです(ほめてる)。
 
 読んでる感じ、読書というか映画を見てるような感覚ですね。
 クエンティン・タランティーノの「パルプ・フィクション」をはじめて観たときの感覚に近いかもです。
 「すげー面白いんだけど、じゃあどこが面白かったのかはうまく言語化できない」というか。

 活字では本来割と忌避すべきとされる手法であるところの「視点保持者が目まぐるしく変わる」っていうところもパルプ・フィクションを思い起こす要素だと思います。
 ただこの作品、電撃《新文芸》スタートアップコンテストにエントリーするうえであえてその手法を使っているというか、わざとやっているフシがありますし、それが面白さの一部でもあったりします。

 新文芸としての実験的な手法と、軽妙でハイテンポなシュールギャグが売りのこの作品、続きを楽しみに待っています。

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