素朴な物語から滲み出る華やかさ

 人間は得てして地に足つかない、飛躍的なものに美を求めがちだ。しかし筆者は違う。複雑な論理構造による幻想ではなく、日常の些細な瞬間にこそ筆者は美を見出す。
 美とはつまり、日々の営みをより豊かにする為の装飾、いやむしろ「それ自体」に他ならない。
 そして数々の視点から語られる物語はさながらメリーゴーランド。はたまた言葉の舞踏会だ。心温まる珠玉の十篇をご堪能あれ。

その他のおすすめレビュー

火野佑亮さんの他のおすすめレビュー14