何気ない毎日とは幸せなものですね

小説に非日常は付き物だ。非日常ほど面白く描かれる。この小説にも非日常は当然のように登場する。
登場人物が抱える背景は実に非日常である。非日常と言うより特殊と言うべきか、特殊と言うより独特と言うべきか。いずれにせよ、違った考え方をする登場人物たちが交わり変化していくというところにこの小説の醍醐味がある。
しかし、その中で生きている人たちが感じている「幸せ」とは至って普遍的なものだと思う。美しいものとは常に単純明快なものなのかもしれない。好きな人と一緒にいるとか、昔の友達と付き合い続けるとか、自分の夢を実現させようとするとか……。
作者が描く「幸せ」を読み解き、読者としてどのように感じるのか、それを楽しめる作品だと私は考えている。
今後の展開が実に楽しみだ。