失うものがない人間ほど怖いものはない

この物語は筆者なりの革命の暗喩なのではないか。芽衣子と同時に彼女を失うことへの恐れをも抱える圭と、あらゆる欲望を諦め、純粋な「呪い」と化した根須。勝負は最初から決まっていた。「呪い」の一点へと目的を集中させる後者と、目的と手段を混同させてしまう前者。
資本家という花を散らす為には、労働者はそれ以外の一切の欲望を切り捨てた、純粋な悪意となる必要があるのかもしれない。