本格幻想伝奇。少年少女は京の闇を駆る。

しっかりと構築された世界観と丁寧な展開が何よりの魅力だと思いました。
クライマックスもバッチリと満足出来る読み応えに仕上げてあって、筆者の真摯な姿勢が感じられます。
これからが楽しみな作者さんだなぁと思いました。
全編読んだ後に振り返ると序盤の展開がやや足踏みしてるように感じてしまいます。終盤の疾走感があるだけに余計にですね。
先述通り魅力ある設定と丁寧なシナリオには感服しましたので、だからこそそれに引き込むための感情移入の手段が欲しいと感じました。
『記憶喪失の主人公』という設定がかなりの縛りになってしまっている印象です。もちろんそれ故の魅力も生まれていますが、最も重大な主人公格のアイデンティティを掘り下げるに当たっては中々の障害かと。
感情移入しやすい、俗に言う『読者視点キャラ』が主要人物に欲しかったですかね。
そこさえ補えればとんでもないことになる予感がします。
これからの作品を心待にしていますね!