第3話 宇宙に砂を詰める者
「それで、お父さん。宇宙ってどのくらい大きいの?」
「観測可能な範囲なのは、地球から138億光年の範囲って言われているね」
「って言われても全然わからない!」
「うーん、1光年っていうのは、光が1年かけて進む距離のことね。だから、光の速さから計算してみようか。
光の速さは、1秒間に299792458m進むことになっている。これはこう決まってるから厳密だ。実際には、光の速さと1秒が決まっていて、mを決めるための数値だけど・・・。さて、2億9979万2458といってもわかりにくいので、3億にしよう。
1秒間に3億m進むのが光の速さだ。
1年は31536000秒だ。これは、60×60×24×365の値だよ。
3153万6000秒はとりあえずこのままにしておいて、光が1年でどのくらい進むのかというと、
3億×3153万6000=9460兆8000億0000万0000
だから、約1京mということができるね。さて、これが138億続くわけだから、
138𥝱0000垓0000京0000兆0000億0000万0000m
というのが宇宙の果てまでの距離ってことになる」
「それって半径でしょ!ってことは、容積はもう少し大きいよね!」
「うん。そうだね、計算してみようか。球の体積は、半径^3×4π/3で求められる。じゃあ、これを計算するよ
138000000000000000000000000×138000000000000000000000000×138000000000000000000000000×4π/3
=11008442251073380127723994828776172938503764503672710806855019446127450238001879
とはいっても、138𥝱がかなり大まかな値だから、一番大きい位だけみれば、十分だ。実際には、1×10^79m^3と言っていいよね。日本語ではちょっと言い表せないけど、立方キロメートルになおせば、1×10^67km^3となって、1000不可思議立方キロメートル、ということができるよ」
「すごい!じゃあ、これに砂漠の砂粒を詰めるとしたら、どのくらいの砂が必要なんだろう?」
「砂粒の直径を0.2mmとしてみようか。球体だと難しいので、立方体として、これを敷き詰めることを考えよう。一つの体積が、0.0002×0.0002×0.0002=0.000000000008
で、1兆分の8m^3だ。8漠m^3とも呼べるね。砂漠にふさわしい単位だ。これを大体10^-11m^3と考えると、宇宙には、10^90個の砂粒が入ることになる」
「あれ?数の大きさがそんなに変わらない?」
「うーん、実はかけ算が足し算に変化しちゃってるんだよね。10^79という大きい数に、10^11という大きい数を掛けたんだけど、その計算は79+11となって終わってしまったんだ」
「大きいことも分かったけど、簡単に書けることも分かった!数字ってすごい!」
「なんで?」
「だって、仮にだよ、神様がこの砂粒を正確に計算できたとして、人間にこっそり教えてくれるとするでしょ。そうすると、たった90文字か91文字、すくなくとも100文字もあれば正確に書けるってことだよね!誰でも知ってるただの数字のシステムなのに、この宇宙のことならほとんどのことを書けるんだなあ!」
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