第6話 メガ・メジストン
「ってことは、□のほかに別の記号を用意するのかな?」
「その通り!実際に、新しい記号を用意しよう。とはいえ、△から□にしたのとまったく同じ方法を使うよ。
〇(1)=□(1)
〇(2)=□(□(2))
〇(3)=□(□(□(3)))
〇(4)=□(□(□(□(4))))
...
至って単純だ。さて、これはどのくらいの大きさになるのかな?さっき□を計算したのを、思い出してみよう。
□(1)=1
□(2)=256
□(3)≃10^10^40
□(4)≃10^10^10^619
□(5)≃10^10^10^10^10925
そして、
□(n)は、大体10^10^...(n個)...
なのであった。右端は少し変わるけどね。
さて、これをつかって計算だ。
〇(1)=□(1)=1
とても、おとなしい。次はどうなるかな?
〇(2)=□(□(2))
=□(256)
≃10^10^10^10^10^10^10^10^10^10^10^10^10^10^10^10^10^10^10^10^10^10^10^10^10^10^10^10^10^10^10^10^10^10^10^10^10^10^10^10^10^10^10^10^10^10^10^10^10^10^10^10^10^10^10^10^10^10^10^10^10^10^10^10^10^10^10^10^10^10^10^10^10^10^10^10^10^10^10^10^10^10^10^10^10^10^10^10^10^10^10^10^10^10^10^10^10^10^10^10^10^10^10^10^10^10^10^10^10^10^10^10^10^10^10^10^10^10^10^10^10^10^10^10^10^10^10^10^10^10^10^10^10^10^10^10^10^10^10^10^10^10^10^10^10^10^10^10^10^10^10^10^10^10^10^10^10^10^10^10^10^10^10^10^10^10^10^10^10^10^10^10^10^10^10^10^10^10^10^10^10^10^10^10^10^10^10^10^10^10^10^10^10^10^10^10^10^10^10^10^10^10^10^10^10^10^10^10^10^10^10^10^10^10^10^10^10^10^10^10^10^10^10^10^10^10^10^10^10^10^10^10^10^10^10^10^10^10^10^10^10^10^10^10^10^10^10^10^10^10^10^10^10^10^10^10^619
さて、説明しよう。まず、ここに、10は256個でてくるよ。255個でないことに注意だ。□(3)の右端の40は、log(27^27)+log(log(27^27))=40.23...からきた数だ。
□(4)の右端の619は、log(256^256)+log(log(256^256))=619.29...から来た数で、
□(5)の右端の10925は、log(3125^3125)+log(log(3125^3125))=10925.444からきた数ということになる。(それ以下の要素はほとんど影響を与えないので無視する)
□(256)の右端は、log((256^256)^(256^256))+log(log((256^256)^(256^256)))を計算すればいい。
log((256^256)^(256^256))
=log(256^256)×256^256
=log256×256×256^256
≃2.40×256×256^256
=2.40×256^257
≃10^619.29
さて、この対数を計算すると、
log(10^619.29)=619.29だから、
10^619.29+619.29
を求めればいい。左辺は620桁の数、右辺は3桁の数だ。右辺は左辺から見たらほとんど何もないくらい小さい数なので、無視しよう。結論だ。
10^を255回繰り返したあと、右端に10^619を付けた数。これが、〇(2)の大きさということになる。すでにとんでもない数だ。これはこの世のどんなものを比較にならないくらい大きい。
このとんでもない数を、スタインハウスは「メガ」と名付けた。
でも、〇の本領発揮はここからだ。□のなかに256を入れるだけだったら〇という記号を用意する必要はないからね。じゃあ、〇(3)はどのくらいの数になるのか?
〇(3)
=□(□(□(3)))
≃□(□(10^10^40))
≃□(10^10^...(10^10^40回繰り返す)...^10)
ここまではもう慣れた計算かな。10^10^40という数が大きすぎるから、もう□(n)というのは、10^を繰り返す数を表す、と考えてしまったわけだ。ここで、
10^10^...(10^10^40回繰り返す)...^10
という数について考えよう。こういうのは一々はじめから考えたら恐ろしさがわかるというものだ。
10=10
10^10=10000000000
10^10^10=1000000000...(100億個の0)...0
これは、10GBほどの文章を書けばなんとかかけるけど、そんなことをしたら酷い荒らし行為だ・・・、だからここでは書かないことにするね。まあ、一応書ける数だけど、大きさとしてはもう何も比べることができないほど大きい。組み合わせの数としてはまああり得る。
10^10^10^10
これは上で計算した数だけ0が並んだ数だ。もう(初等的)組み合わせ論でも出てこないような数、ということになる。組み合わせ論のなかに組み合わせ論を組み込んだような話なら出てこないこともないかもしれないが・・・
ここで、まだ4手目だ。6手目は、
10^10^10^10^10^10
これは宇宙論に出てきた最大の数(10^10^10^10^10^1.1)よりもはるかにはるかに大きい。
100手目、1000手目と繰り返して、100億手目になって、10^10回繰り返したに過ぎない。さらに、10^100=10^10^2手目まで繰り返して、10^1000手目=10^10^3まで繰り返して・・・として10^10^40手目まで繰り返すわけだ。そんな数を□の中に放り込んだのが、〇(3)ということになる。
〇(4)はそれとくらべものにならないほど、はるかに大きい。
スタインハウスのメジストンとは、〇(10)のことである」
「でも、お兄ちゃん、なんで、△、□ときて、〇なの?五角形にするのが筋じゃない?」
「その発想は本当に正しい!そう考えて拡張したのが、Leo Moser(1921-1970)だ。〇(2)角形のなかの2というものを考えたわけだけど、今はそれを想像することができないからね・・・」
「想像するってどういうことなんだろうね・・・」
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