符堅「ぼくは偉い! だから一緒に天下を取ろうよ」慕容垂「お、おう……」

世界史で目にすることがあるかもしれない、「淝水の戦い」すなわち中国の歴史上の、前秦VS東晋のサバイバル一大決戦があります。
東晋とは、あの三国志の終わりに登場する、司馬氏の「晋」の後釜みたいなもの、と思ってくれれば大丈夫です。

で、前秦の符堅は、それはもう慈悲深く義に溢れて理想的な君主……を目指していました。
これは――その符堅を、慕容垂という敵国から前秦に降った一武将の視点から眺めた物語です。
慕容垂は慕容垂で曲者なんですが……それはこのお話の題名が、慕容垂の台詞であることから想像がつきます。

さて、そんな符堅と慕容垂がタッグを組んで(?)、中国統一に向けて、東晋に血戦を挑みます。で、
符堅「ぼくたちの戦いは終わらない!」
慕容垂「おれたちの戦いはこれからだ!」
……と、ならないところに、この物語の悲哀というか、可笑しみがあったりします。

真面目に史書を読んでいたら、ちょっとわかりづらいところをライトノベルにしてくれたので、読み易くて、しかも面白いです! ぜひ、ご一読を!

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