顛末
結局この後、錯乱した私はこの家に火をつけようとしてボヤ騒ぎを起こしたものの、友人に止められた。
その時の私が恐ろしかったのか、ご自宅まで男友達連れでやってきた上にいちゃつき始めたのが余程嫌だったのか、それともその後両親に素直に事情を話して引っ越しで土地を離れたお陰か、その後にあれを見ることはなかった。
私が疲れていたのか、それとも本当にあの男の霊のようなものが私につきまとっていたのか。
なんにせよ、私がこうしてそこそこ健全に大学生をやれているのは引っ越してからも何かと話を聞いてくれたその友人のお陰だろう。
なんやかんやで大学も一緒だったし、結局付き合っちゃってるし、あんなストーカーより余程私を見ている気がする。
「ねえ、せっかくの休みなんだから出かけようよ。家の中にばっかり居たらカビが生えちゃうよ?」
「わかったわかった。あなた、本当に私の親か何かみたいだよね」
「そりゃそうだよ。だってずっと見ているんだから」
彼はそう言って幸せそうに微笑んだ。
ずっと見ている 海野しぃる @hibiki
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