“超”短編小説集
福田けんま
Episode1「先輩」
駅のホームで満員電車を待つ。
今日も私はスマホの音楽アプリを開いてアーティストの欄を下から上へスワイプする。私には朝電車に乗るときに必ず最初にかける楽曲がある。いつも聞いているこのバンドは若い女性3人のスリーピースバンドで失恋ソングをよく歌うことで有名だ。けれどごく稀に応援ソングを歌うときがある。いつも聞いてるのはその中の一つだ。
私が彼女らを知ったのは遡ること一年前。私が2年生で生徒会に入っている時、私は文化祭の担当の仕事を失敗した。2年目ということもあってとても先生からお叱りを受けた。当然すごく落ち込んだ。そこを一つ上の先輩がとても励ましてくれたのだ。これが先輩との出会い。そしてその先輩がよく聴いているらしいのが彼女らのバンドなのである。(そんな話を友達と話しているのを盗み聞きした。)
しかしそれからというもの先輩と話した記憶はない。人のことを大切に考えるのは先輩にとって当然のことだったようだ。
先輩は人と比べると人との係りには積極的で、友達と話して笑うときのくしゃっとなる笑顔がとてつもなく私の心を温めた。
それからこの先輩は私の憧れ。
だから私は忘れないように毎日のように「いつもいいことばかりじゃない」と歌う彼女らの応援を聞きながら通学する。
先輩、今、どこで何してますか?
卒業する前に連絡先聞いておけばよかったですね。
“超”短編小説集 福田けんま @kenma_fukuda1020
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