求めることを恐れないで

自分の育ちに対する不満、不信。感情を抑え、半ば失い、嘘で取り繕って何とか暮らしているけれど、感じるのはただ虚しさばかり。
思いを言葉に出来なくて、いつしか大切な場面ではいつも口を閉ざしていた。
やがて妻とのすれ違いも決定的なものになってしまい…
そんな時に見た不思議な夢の中で出会った、私はあなたの嘘です、と名乗る少女。謎の言葉「ヨルカ」とは何を意味するのか。
淡々と進んでゆく陰鬱な物語は、やがて熱いクライマックスへ。最後の一行で解き明かされる謎は、孤独な自分への許しと救済に他ならない。

読みやすく、ほぼ一気に通読してラスト、不覚にも号泣しました。

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