主人公はまさかの机。高さなどそれぞれの特徴から、一つひとつ名前があります。
席替えといえば、どの席になるかなとドキドキしていたものですが、まさか机の方もそうだったとは。たしかに使われる机だって、美男美女がいいもんなと思わず納得してしまいましたw
さて、話の主軸となる机と少女の物語ですが当然言葉の違う2人が言葉を交わすことはありません。言葉ではなく行動で示す主人公の気持ちは、ほかの机とのやりとりで主に語られていきます。一方少女は机に向かって独り語られるのですが、その言葉は静かで、ときに悲しく、ときにとても優しいもの。その光景はどこか胸がほっこりします。
最終幕、当たり前の最期を迎えようとする机に訪れる奇跡とその後の2人の展開に期待してください。
くすくす笑える導入では、机といえども、ちゃんとそれぞれにキャラが出来上がっていて、その「人間臭さ」には共感出来てしまいます。
そう言えば、小学校〜高校時代までの教室の机というものには、思い入れがあったかも知れません。
ちょうどいい高さはもちろん、机の色や木目なんかも気に入っていると、席替えで机が変わってしまうと残念で。
そんなことが思い起こされました。
……にしても、「机と美しい女子高生? いや、無理でしょ!? 可哀想だけど……」などと思いながら読み進めてみると、女子高生の背景が明かされていくうちに……!
それとなく笑えるコメディな作風は、この作者様ならでは。
そして、ただのコメディではなく、心温まる感動の物語となっているのも、作者様ならではだと思います。
ただ奇をてらっているだけの題材ではありません。
「机に教えられる愛」とは?
是非、読んでみてください!