番外編
どら焼きを作ってみた
昼下がりの台所で、神藤 九紫楼、間桐 愛音、土御門 水無月の三名は、どら焼き作りと格闘していた。
「あぁ…また失敗した」
「こんだけ焦げちゃったら、もう食べることは無理ね」
「てかこれ、ほぼホットケーキよね!」
「やっぱり私たちには無理なのかな?」
「でも、銀と桜の誕生日のためだから諦められないよね!」
「誰かどら焼き作れる人いないかな?」
「う〜ん?」
「う〜ん?」
「はぁ…思いつかない。」
「おやっ、御三方お困りかい?それなら、小豆洗いの千代婆さんの所に行くといいよ」
「千代婆さん?初めて聞く名前だけど、鬼神様、その人はどこに住んでるの?」
「常世の商店街だよ」
「常世!」
「あっ!もしかして常世の千代さんって、あの老舗屋の和屋の四代目当主の千代さんですか?」
「ちょっと待て、あの婆さんは絶対私たちにどら焼きづくりなんて教えてくれないよ。」
「そこは僕の力で…」
「ちょっ…ちょっと待ってよ鬼神様。どら焼きのためにその権力使っちゃだめよ!」
「じゃ、どうするんだい?」
「そこは暗記で、三人いれば作り方くらいはわかるでしょ」
「ふん、簡単に言ってくれるね。この小娘ごときが私の技を見て覚えることなんて不可能じゃよ!それに、人様にあげるものなのじゃろ?そんなみっともない物欲しくないわ!」
「うん?誰?」
「ちょっ…九紫楼、あれが噂の千代婆さんだよ!」
「やあ、よく来てくれたね!」
「ふん、暁と妖王様のお願いなら、仕方がないからね。いつもうちのお店をご贔屓してもらっているお礼じゃ!おい小娘ら!暁と妖王様に感謝して作るのじゃよ!」
「って事は、まさか…」
「えっ…あの頑固お婆様が…。」
「えっと…手伝ってくださるのですよね?お願い致します。」
「ふん、こんな失礼な小娘どもに教えることなんてないが、仕方ないね。」
「僕も作ろっかな?」
「鬼神様は結構です!だいたい鬼神様、この前のそうめんですら作れなかったのに、どら焼きなんか作れるわけないじゃないですか。鬼神様は片付けを手伝って下さい。」
「…酷いな九紫楼は」
「へぇ〜、料理出来ないんだ」
「鬼神も可愛いところがあのだな」
「妖王様、そう落ち込まれないでくだされ。混ぜる作業くらいならできるでしょうから。」
「…本当かい?」
「勿論じゃ!取り敢えず、まずは片付け最優先じゃな。こんなメチャクチャじゃ、作るものも不味くなる。」
「YES Mom!」
こうして散らかしたものを片付けた私達は、遂にどら焼きの作り方を千代婆から教わることになった。
[ 材 料 ] (10㌢大4個分)
ホットケーキミックス 100㌘
卵 中2個
牛乳(又は水) 70㌘
<卵と合わせて170㌘>↑
みりん 小さじ2
(甘口醤油 少々)
はちみつ 小さじ2
お好みの餡 300㌘
お好みの具材 4個分
[準する物]
ボウル、菜箸、スプーン、泡立て器、計り、
カップ、フライパン
[ 手 順 ]
一.ホットケーキミックスはふるいにかけて空気を含ませておく
二.ボウルに卵を割り入れ、泡立て器で白っぽくなるまで泡立てた後、砂糖を入れてさらに混ぜる。
三.はちみつ、みりんを加えて更に混ぜてから、水を最後に加えて混ぜ合わせる。
四.ホットケーキミックスをふるいにかけながらボウルに加えて粉が見けなくなるまでさっくり混ぜ、ラップをかけて20分程休ませる。
五.油無しで調理できるテフロン加工やダイヤモンド加工のフライパンを中火で温め、一度濡れ布巾の上に取る。火は弱火に。
六.生地をひと混ぜしてからお玉ですくい、10㌢の円形になるように、15㌢上からそっと生地を流す。
七.弱火。蓋なしで2分半〜3分焼く。
表面がプツプツ気泡が出来て、縁が乾いたら裏返し、反対側も弱火で一分焼く。
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《コツ・ポイント》
焼きむら防止のため、油は引かずに焼く前にペーパーだけで拭きます。火加減は弱火。返しの目安は、2分半で気泡が中心まで沢山でき、生地の縁が乾いた頃です。
気泡が出来ないときは火を一瞬強めて3分後には裏返しましょう。裏は弱火1分。
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八.二枚焼いた生地がほんのり温かいうちに餡や具材を挟み、手で柔らかく包み込んで落ち着かせた後に、ラップとかで包む。
(クックパッド参照)
「どうだい?うちのもちもちふわふわどら焼きは」
「美味しい!」
「簡単に出来ちゃった!」
「これなら銀達が喜ぶわ!ありがとうございます。千代婆さん」
「良いって事よ。これで銀と桜を喜ばしてあげな。じゃ、私は帰るよ。あぁ疲れた。」
「本当にありがとうございました。」
そう言って、皆で玄関まで送り出した後、千代婆さんは常世へと帰っていった。
その後、銀と桜は私達のどら焼きをメチャクチャ美味しそうに食ってくれた。
あやかし神社に白鳥の歌を ビターラビット @bitterrabbit
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