第7話

前回までのあらすじ


カニングスクエアで休息を取っていた一行...。

しかし、とある事件が発生する。

指輪を取り戻しに全員向かったものの、謎の不快音の影響で

次々に戦線離脱。かばんと博士が最上階に向かう。

そして、そこにいたのは不快音の元凶で、『幸福の破壊者』こと

ジェラシーロッカーだった。

かばんと博士は言い争いながらも、ジェラシーロッカーと戦う...。


ーーーーーーーーーーー


「リア充をこの世から消すまで俺は倒れるワケにゃ行かねーんだよっ!!」


ジェラシーロッカーが声を荒らげた。


「くだらない夢ですね」


「さっさとやっつけるのです」


彼が思いっきりギターの弦を弾いたのと同時に青色の音波が飛んで向かって来る。

2人は同時に風の矢と炎を放った。

そして、間髪を入れずに、


「行きますよっ、かばん!!」


「はい!」


かばんは博士に捕まり、音波攻撃を空中で交わす。


「何ッ!?」


それと同時に、先程放った炎の弓矢が炸裂した。


「アああッ!!!」


彼の叫びが聞こえた。


「こ、この野郎...!!」


ジェラシーロッカーは上を見上げ睨みつけるが、

かなりダメージを負っているはずだ。


「これで...、終わりです!」


かばんは空中からブリーズアローを放った。

風の矢は彼の身体を貫いた。


「...クソガキ共が...ッ、いい気になんじゃねーよ...。

俺様は何時でも...、蘇ってやるぜェ...!」


そう負け惜しみを言い残すと、黒い灰の様に消え去って行った。

跡には、指輪とカードが落ちていた。



「...かばん、先に謝らなければいけませんね」


「僕の方こそ、イライラをぶつけてしまって...」


互いに、深い溜息を吐いた。


「博士さん、嫌いなものは嫌いなままで良いですよ。

無理に自分を変えなくたって。僕が守ってあげますから」


「何を言うですか...。サーバルと会う前に死なれては困ります」


「それを言ったら博士さんだって、助手さんと会う前にやられちゃったら困りますよ」


「だから私が長として、守ってやると...」


「いや、だから無理しないで僕が代わりに...」


「.....」


「.....」


「みんなが待ってます、とっとと下に降りましょう」


「そうですね」


今回の件で、かばんと博士は少し距離が縮まった様な気がした...。




[カニングスクエア 1階]


「あっ!私の指輪!!取り戻してくれたんですか!?

ほ、本当にありがとうございました!!感謝感激です!!」


男の人は何回も何回も頭を下げた。


「何とかギリギリ間に合って良かったですね」


かばんも一安心した。


「そうだ、これはほんのお礼です!」



「思った通りだ!経験値とお金は美味しいね!」


キタキツネははしゃぎながら言った。


「何もしてないお前たちに報酬が行くのは気に食わないのです...」


「しょうがないだろ、博士」

「そうだよ。あのまま同行しても足手まといになっただけだよ」


タイリクとヒグマはそう言った。


「モンスターカードも2枚になったし、クエストもクリアした。次はヘネシスに行こうかな!」


「全く、全然休めてませんよ」


博士が愚痴を言う。


「まあまあ...、ハンバーガー美味しかったじゃないですか」


「タイリク、私はお前よりも先のフロアまで行ったぞ」


「まだそれで張り合うのかい?仕方ないって言っただろう?」


『クゥーン...』


5人は再び地下鉄の乗り場に向かった。

そして...。


「ねえ、話しがしたいって来たけど...」


「...僕のフィアンセになってくれないか!?」


彼は取り戻した指輪を彼女に差し出した。


「.....」


固唾を飲み、彼女の返事を待った。




「...いいわよ」





「クォーン!!」


「凄いのだ!快適なのだ!」


ピューマに乗ったアライさんたちは、最初ベルに言われた

本当の目的地、エリニアにやっとたどり着いた。


「アライさーん、ここの図書館に魔法使いさんいるみたいだよー」


「よーし、そこへ行くのだ!」


「グルゥ!」


2人は図書館へ向かった。


....。


[エリニア魔法図書館]


「おーい!魔法使いはいないのだー?」


「アライさん、ここ図書館なんだから、静かにしなきゃダメだよ」


フェネックに指摘されると不服そうな顔を浮かべた。


「でも、聞こえないのだ」


「ここは私に任せてよー」


フェネックは杖を取り出すと、コンコンと、床を2突きした。

すると...。


「何方だね」


唐突に図書館の真ん中に白いローブを着て白髭を蓄えたいかにも、

熟練した魔法使いっぽい人物が現れたのだった。


「すごいのだ!フェネック!マジシャンかなんかなのだ!?」


「ノックが基本だよ」


アライさんに小声で返した。


「あのー、すみません。私達...」


「ああ...、わかっておるよ。君達がここに来た経緯もな」


彼は地上に降り立った。


「私はハインズと言う...。

君達は元の世界に戻る術を探す為に私の元へ来たのだろう」


「その通りなのだ」


「君達の力になりたいのは山々だが...、少し力を試したい。

なんせ、元の世界に戻るのには大変な力が必要だからな」


「力を試すって何をすればいいの?」


フェネックが尋ねた。


「この森の奥の方に魔女の森があり、パウストという大怪物が潜んでおる。

それを倒し、『呪われた人形』を持ってくるのだ。それが出来れば、

君達に元の世界へのヒントを与えよう」


「おっけー、ちゃちゃっとやってしまおうね、アライさん」


「フハハハ!フェネックといれば大怪物なんてどんとこいなのだ!」


「...待て」


「どうしたの?」


「そこの、フェネックとやら。君にこれを渡そう」


ハインズは白い杖を彼女に手渡した。


「これはクリスタルワンドだ。生憎、私は魔法使い専門でね。

弩は持っていないが、君だけでも戦力の足しにしてくれ」


「...わかったよ」


そして2人はパウスト討伐へと向かった。



エリニアの森の奥深い所。

魔女の森と呼ばれるエリア...。



「ウキッ!」

「キキィ!!」


四方から猿の鳴き声がする。

この森に住むルーパンという魔法の力を使うサルが、

2人の行く手を阻む。


「グォオウ!!」


アライさんの乗るピューマが吠える。


「こんな雑魚敵に構っていられないのだ!」


「そうだねっ」


俊敏な動きで木々の枝を乗り継ぎながら、次のポータルへと飛び込んだ。

次のマップに進んだ時だった。


「キィッヒヒヒッ!!冒険者か!アタシらメロディの森から出ていけッ!!」


箒に乗り、薄暗い色の三角帽子を被った魔女がそう言いながら突っ込んで来た。


「のだっ!」


「アライさん、屈んでよー」


フェネックは杖を振り、鎖を出現させ、敵に巻き付かせた。


「ヒェァ!?」


「はーいよぉっと!」


彼女は杖を振り、遠くの方へ放り投げた。

“ヒァアアア!”という悲鳴が聞こえた。


「助かるのだ、フェネック」


「なんてことないさー。さっさと怪物を倒そうか」


「お任せなのだっ!」


快調に妖精の森を最深部まで突き進むと、少し不気味な空気を感じ取った。




「ウゥゥゥ...」


怪しい鳴き声が聞こえた。

そして2人の前に、巨大なサルの怪物、パウストが姿を現したのだった。



「アイツだね」


「よしっ、さっさとやっちゃうのだ!」


アライさんがボウガンを構えると、


「ウゥゥッ...」


パウストは奇妙なオーラを放つバナナを投げつけた。


「そんなトロい攻撃、当たる訳っ!」


それを相殺する様に、矢を放った。


「アライさん、私が後ろに回り込むよ」


フェネックはピューマの後ろから降りる。

その隙に彼女は再び矢を放った。


パウストが矢に気を取られているうちにフェネックは、

杖を振り、相手に鎖を巻き付け手前に引き付けるスキル、ダークチェーンを出現させる。


アライさんの矢によって気を取られている隙に、彼の左足にその鎖を巻き付け


「...ッ!?」


彼はフェネックの技によって足を取られ、大きく転倒した。


「そおれっ!」


その隙に杖でパウストを攻撃した。



「ほら、約束通り取って来たよ。多分これでしょ」


フェネックは人形を彼に見せた。


「...確かにそうだ。あの邪悪なパウストを倒してしまうとは...」


「ところで、元の世界に戻る方法を教えて欲しいのだ」


「...よかろう」


手元の水晶玉を浮遊させ、映像を映し出した。


「あれ、これって...」


「ふあああっ!?」


2人は驚いた。


「この世界に5人、君達と同じように迷い込んでしまった者達がおる。

彼女達も救う必要がある。そもそも、この世界をおかしくしている原因は

コントロールしている3つの軸がブレてしまったからだ。

現世、過去、未来...。これらの歪を正すことが出来れば、戻れるはず。

君達は、過去と未来の歪を正し、この5人が諸悪の権現を打倒した時に

スムーズに戻る道が開かれるように手助けをするべきだ」


「よし、とりあえずかばんさん達の手助けをすればいいのだな?」


「...だが、君達は強いが少々力不足だ。

私が認めたという証明書を発行する。それを持ってレジスタンスの本部へ戻るのだ。

それから君達の上官より、指示が与えられるだろう...。

エーデルシュタインへは私が戻してやる。君たちが無事に帰れる事を心より祈っておるよ」


そう言うと彼は、2人をエーデルシュタインへとワープさせた。

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けものストーリー【RPG】 みずかん @Yanato383

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