第3話
〜前回のあらすじ〜
職業を決めた!
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(ゲームだとしても...
しかし、長たる私が火ごときに得意になれないでどうするのですか...
そうですよ、助手をこの世界から助け出して自慢してやるのです。
「火を使えるようになった長は賢くて最強だ!」って島の連中に言わせるのです!怖くない怖くない...)
呪文の如く自分に言い聞かせた。
キタキツネ曰く、赤い服の人に話しかければいいそうだ。
ゲームの世界では自分から話しかけるのが鉄則らしい。
ナインハートの様な自ら語りかけるような存在は珍しいそうだ。
(あぁ...、火はやっぱり怖いのです...
しっ、しかし、ここで潔く話しかけなければ…、この世界には最悪にもタイリクオオカミもいる...、ヤツにバカにされるのです...)
ひたすら煽ってくるタイリクオオカミのムカつく顔が思い浮かんだ。
(あの顔だけは見たくないのですっ...)
首を横に振り、覚悟を決めた。
「あっ、あのっ...」
「あはっ、冒険者さん!ナインハートからお話は聞いてるよ!あたしは炎の騎士団長のオズ、よろしくね!」
「は、はぁ...」
作り笑いを浮かべ、握手した。
「炎の魔法使いフレイムウィザードに
興味あるんだね?」
(有るっていうか...やらされてるだけなんですけど...)
「フレイムウィザードは強いよ!
炎でバーンっていってボーンでね!」
愉快にオズは話した。
「あはは...」
(サーバルに似てますね...。どこか)
1度咳払いし、言い直した。
「その力を欲しいのですが…」
「いいよいいよ!じゃあ、授けるね!」
「はっ...!」
薄い黄色い光が博士を一瞬包んだ。
「これであなたも炎の魔法使いだよ!
杖をあげるね!」
木の杖を渡された。
「あ、どうも...」
「あなたもスキルを使えるようになったから、他のみんなを驚かせちゃってね!」
「わ、わかったのです...」
(ところで、スキルとは...)
「光の騎士団長、入団希望なんですけ...」
そう目を輝かせて、キタキツネは話しかけた。
「良いだろう。
僕にそんな純粋な目で話しかけてくれたのはキミが初めてだ。何も言うことは無い」
(やっぱミハエル団長はカッコイイなぁ...)
「どうした?」
「あっ、いや、なんでもないです!
力をください!」
「風の騎士団長さん、ウィンドシューターになりたいんですけど...」
「風の力が欲しいのね。いいわよ」
(意外とあっさりにくれるんだ...)
博士と同様に薄い光が自分を包み込んだ。
「弓の使い方を教えるわね。
こう引いて...、こう引くの」
ジェスチャーでその様子を見せられた。
「えっ...と?」
「まあ、こういうのは実戦で覚えるわ
慣れよ。慣れ」
あっさりとあしらわれた。
(確かに...、個性的な団長さんだ...)
「ナイトウォーカーの団長は何処にいるんだ...?」
タイリクオオカミは腕を組み辺りを見回した。
「ここだ...」
黒い影が現れ、唐突に目の前に現れた。
「おおっ...、凄いね。どんなトリックだい?」
「それは秘密だ...
ナイトウォーカーの力は闇を操る力
先程の様なものだ」
「私は人を驚かせるのが好きでね...
そういうのは大好きなんだ」
口元を緩めながらそう言った。
「ならナイトウォーカーに相応しいな。
いいか、ナイトウォーカーの武器は
手裏剣だ。闇に隠れ不意をつく...
いわば驚かせることのプロだ」
「驚かせる事は任せてよ」
「気を緩めるなよ?」
「俺は雷の騎士団長、ホークアイだ」
「ヒグマだ。ストライカーになる為に来たんだが...」
「なるほど。興味を持ってくれて嬉しいぜ。ストライカーは雷を操るが、体力が非常に重要な職業だ。体力はあるか?」
「何度もトレーニングはやってきてるし、危険な所を何度もくぐり抜けてきた」
「そうか...、この先そのお前の経験が重要になってくるからな。ストライカーの力でみんなを守るんだぞ」
そう言われ、ストライカーの能力を授けられた。
「ストライカーは拳で戦うんだ。
いいな?」
「拳...」
自分の手を感慨深く見つめた。
そして、全員の能力の付与が終わって集まった。
「すごい発見したよ」
キタキツネは揚々と言った。
すると、キタキツネは自分の武器を装着した。
「武器を変更したいなーとか、
装備を変更したいなーって思えばウィンドウが開いて変更出来るんだ。
覚えといてね」
そこに、ナインハートがゆっくりと
やって来た。
「皆様が騎士団に入られましたこと
心より歓迎致します。先程、シグナス様が仰っておりました。
おそらく、暗黒の魔法使いの化身によりあなた達の仲間が捕えられてしまったと。
その為には、倒さなくてはいけないのですが、この世界では経験が必要です。
そこで、一つシグナス様がこれを渡すと」
分厚い黒と黄色の本をキタキツネに渡した。
「それは“モンスターカードブック”というものです。この世界の敵は倒すと
カードをドロップします。それを
集めれば、あなた達の強さも格段に上がることでしょう。
まず初めに、大陸のボスモンスターの
カード、7枚集めてきてください。
そして、こちらに戻ってくるのです。
更なる力を授けます」
「7枚のボスモンスターカードを集めればいいんですね?」
かばんは再確認した。
「はい。そして、その証を見せるのです」
「わかりました!ボク達、集めて来ます。この人達とだったら、すぐ終わっちゃいますよ!」
自信満々にキタキツネは言った。
ここに来てからキタキツネのキャラが変わった気がする。
みんな薄々そう感じていた。
「さ、みんな。さっさと大陸に渡って
ボスやっつけて...」
「おい、待てい」
ヒグマが声を上げた。
「なに...?」
次に声を上げたのはヒグマではなく、博士だった。
「この世界の事イマイチわからないのです。ゲームの中だということしか...。
その場合あなたの指示を仰ぐことになるのですが...」
「なに、ボクが信頼出来ないの...?」
博士は首を横に振った。
「そういう訳ではなく...
我々に色々教えて下さい...」
「ああ、そんなこと?全職業のスキルとかシステムは全部頭の中に入ってるから...」
「じゃあ、僕はあまり出る幕がなさそうですね...」
かばんは苦笑いを浮かべた。
「じゃあ、早速その大陸に行こう。
私もアミメキリンを驚かせたいからね」
クスッと笑った。
「取り敢えず、みんな死なないようにね」
暗黒の魔法使いに捕えられた仲間を救うべく、ゲームの世界で選ばれた騎士達は旅へと出るのだった…
一方その頃
「ワイルドハンターっていうのは、
“ピューマ”を乗りこなすの。
ここはそのピューマを育成してるのよ
みんな大人しいし、主に従順なのよ」
一通りアライさんとフェネックはその
庭を見て回った。フレンズじゃない動物を見るのは新鮮だった。
その途中、アライさんは茂みの中に光る眼光を見つけた。
「ちょっと待つのだ」
アライさんはフェネックを呼び止めた。
「どうしたの、アライさん?」
茂みの前にしゃがみ、話しかけた。
「この子はどうしたのだ?」
「ああ、その子?
結構内気な子で...
私達ハンターにもなかなか寄り付かないのよ」
ベルはこちらに近寄りつつそう話した。
「アライさんって言うのだ!よろしくなのだ!」
アライさんはそのピューマに向かって
挨拶した。
フェネックとベルは黙ってその様子を見守る。
「ちょっと待ってるのだ...」
ポケットを手探りし、取り出したのはじゃぱりまんだった。
それを二つに分け差し出した。
「お友達の印なのだ!」
鼻を近づけたピューマは恐る恐る食べた。
同じタイミングでアライさんも口にした。
「友達と食べると美味しいのだ!」
すると、ピューマは立ち上がりアライさんにその姿を見せた。
雪の様にまっさらとした、純白の毛並みだった。余程アライさんの事が気に入ったのか擦り寄ってきた。
それを受け入れるように頭を撫でた。
「すごい...、私達でも心を開かなかったのに...」
感心してベルが言った。
「これがアライさんの才能なのかもしれないね」
「フェネック!アライさんは決めたのだ!この子と旅をするのだ!」
「じゃあワイルドハンターに入るって事でいいわね?」
「大丈夫なのだ!フェネックはどうするのだ?」
フェネックの顔を伺った。
「そうだなー…」
今まで見たものを思い返した。
(機械もあまり得意じゃないし...)
「バトメにするよ」
「わかったわ。じゃあ、あなた達、
1回総合司令室に戻るわよ。あなた達をレジスタンスとして迎え入れる準備をしないとね」
こうして、二人の旅も幕を開けたのだ。
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