第5話

前回までのあらすじ


レベルを上げた一行は、

遂にボス戦へと突入する...!


―――――――――


リスという港町に続く道、海風が肌に当たり

散歩するのにはとても気持ち良い。


しかし、カタツムリの様なモンスターが湧き出てくるので

ゆっくりと観察は出来な・・・


「邪魔だ」


シュシュッ


素早く手裏剣を投げて倒したのは、タイリクだった。

相棒のハスキー犬“シロク”を手に入れるなど、この世界で何かと

楽しんでいるような雰囲気を醸し出している。

一方タイリクオオカミに対しライバル心を抱いているのは・・・


「はぁぁぁ....」


右手に力を溜めて3体連続で倒した。

ストライカーの力を得た、ヒグマだった。

カタツムリ型のモンスターはすぐに消失した。

セルリアンハンターとしての培った基礎体力が今になり、

役に立っている。


「かばん、見てるのです。長として火を扱えるようになったのですよっ!」


得意気に、僕の目の前で杖を振りモンスターを火に包んで見せた。

しかし、当の本人は目を瞑っているが・・・



「アハハ...、博士さん凄いですね!」


苦笑いし、博士を褒める。

因みに僕も、弓の扱いにも慣れた。


「さ、この先にボスがいるよ。気を引き締めないとね」


指揮者の様に軽々と剣を扱うキタキツネは余裕に見える。



次のマップに進むと、さっきまで、海まで見通せていたのに

いきなり霞に包まれたように、真っ白くなった。


異様な雰囲気が、不気味だ。





ヒグマはその中で不穏な霧の中で、野生の勘を働かせたのだろう。

目を光らせ周囲を警戒している様子だった。



「...!!何かいるな...!」



全員は足を止めた。


「ここは私が行く...、オオカミ、しゃしゃり出んなよ?」


「はいはい...」


ヒグマを先頭に前へ慎重に進んだ。

少し進んだ所だった。


(間違えなく、前にいる・・・。真っ白で見えないけど・・・!)


「そこだなっ!」


右手を引き前に突き出した。


「...ん?」


(体が重い...!?)




「ヒグマ!っこれはヤツのスキルだよ!」


キタキツネが剣を構えた。




「流石じゃのぉ...」


霧の中からゆっくりと姿を現したのは、白い髭を生やした

巨大なカタツムリだった。



「うおっ...」


ヒグマは思わず、後ろに下がる。




「アイツがボスのマノだよ...」


ヒグマの背後に、キタキツネが立ち、ボソッと呟いた。




「若造が...、長年生きて身に着けた魔力を見るがいい...」




「かばん!早く何とかするのです!」


かばんの後ろに隠れながら博士は指示した。


(は、博士さん・・・)



「クソッ...、素早く動けない・・・」


ヒグマは顔をしかめた。



「ファファ...」


その時だった。



ザクザクッ

奇怪な音が響いた。


「うおっ!?」


マノの表情が一変する。


「何だ!?」


「ラッキーセブン...」


鋭く尖った手裏剣がマノに炸裂した。


「タイリクオオカミ!?いつから後ろにっ!」


ヒグマは驚き声を上げた。


「良い顔頂き・・・。

最初から・・・、気付かなかったのかい?

想像力は大事だよ。スキルを使ったのさ」




「ダークサイト...。自らの姿を透明にして相手に近付くスキル・・・」


キタキツネは呟いた。



「シャドーバット...」


手を地について、自分の背後から黒いコウモリを数匹出現させ、

マノを襲った。


「ウオオッ!」


「ここはボクがっ!」


能力が消え、スムーズに動ける。

剣を構え、スキルを発動させた。


「トリプルスラッシュでっ!」


剣を上下に素早く裁き、後ろに出た。


「ぐぐっ...、まさかっ...、こんな若僧にっ...」


マノは光を放ち、消え去った。


天からヒラヒラと紙が舞う。

タイリクオオカミはそれを器用に指で挟み取った。


「これがモンスターカードか?」


「そうだね。このブックに記録しないと」


キタキツネの持つ本に、カードを置いた。

光を放ち、マノのカードが記録された。



「よし、この調子でどんどん行こう」


「うん、まずは港に行こうか」


キタキツネとタイリクオオカミはそのまま前へと進んだ。


「ちょっ、あっ、おい!」


ヒグマも慌てて追いかけた。




「ふ、ふっ...、私が出る幕が無くて良かったのです」


(博士さん絶対火を使わなくて内心ホッとしてる・・・)


かばんは額を拭う博士をみてそう思うのであった・・・。












「やっと大陸まで着いたねー、アライさん」


「とても疲れたのだ・・・」


「これからどうするのさ?」


「取り敢えず、あっちの方向なのだ!」


アライさんは看板も見ずに適当な方向へと歩いていった。


(こっちにエリニアって書いてあるんだけどなー・・・

ま、いいか・・・)


「待ってよアライさーん!」

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